「アイドル映画の新しいベンチマーク」幕が上がる KSさんの映画レビュー(感想・評価)
アイドル映画の新しいベンチマーク
ちゃんとした青春映画でありながら、ちゃんとしたアイドル映画。どちらも作品の数は多いけど両立している作品になると多くはない。
全編が部活として演劇に励み成長していく高校生の物語でありながら、ももクロのメンバーが俳優として成長していく物語でもあるという重層的な構造になっている。ももクロに興味がない人は青春映画として、ももクロのファンはももクロの映画としてどちらでも十分に楽しめる。
この作品で描かれているのは、アラン・パーカーの『THE COMMITMENTS』や高坂希太郎の『茄子 アンダルシアの夏』にも通じるアレ。何者でもない現在の自分に対する苛立ちや不安、そして何者かにしてくれるかもしれない何かに出会ってのめり込んでいく人の姿。喜びも楽しさも怒りも悲しさも出会いも別れも裏切りも全部込みで、それでもその何かに夢中にならざるを得ない人の姿。そういう映画大好物。
そして、脇を固める黒木華がすごい。画面に出てきた途端空気が変わる。ムロツヨシがすごい。黒木華で張り詰めた空気をフニャっと緩めてくれる。なにより志賀廣太郎がすごい。志賀廣太郎の現国の授業受けたいw
人それぞれ好き嫌いがあるのは当然だけど、ももクロが好きか嫌いか、アイドルが好きか嫌いかではなく、この映画が好きか嫌いかで話せるかどうかというレベルは余裕でクリアしている。
これからアイドルを主演にして映画を取る関係者にとってベンチマークになりうる作品なんじゃなかろうか。かなりハードルは上がったと思う。
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