「神さまに感謝するということ」モアナと伝説の海 ぱんだまるさんの映画レビュー(感想・評価)
神さまに感謝するということ
昔、内田百聞は物語の冒頭に「この話にはお説教などは入っていないので安心して読んで」というような文章を挿入したというが、今回のモアナと伝説の海に関して、僕などはどうしても現代社会での自然との関わり方、というお説教視点で見てしまう。
マウイ=神から力を授かった人間、つまり文明面で偉人・天才といわれるひとたちの象徴。マウイは人々の為に創造神マフティの力の源である「心」を盗んだが(劇中ではその他にも多くの神々の力を盗んでは人々に与えている)、それは尽きぬ欲望をいだく人類全般とそれに応えようとする偉人・天才といわれる人々との関係を表している。
マウイが神々の力を盗み人々に分け与えた行為の結果として文明度は高くなり皆の生活は「良く」なったが、それが原因で闇が生まれ世界に危機が訪れる……。
歴史上の偉人たちの数々の発明のおかげで私たちの暮らしはここまで豊かになったが、一方その発明により地球環境は悪化の一途を辿っている。
所謂特定の宗教的信仰ではなく、もっと根源的に僕たちが自然に対して素直に感じる畏怖のようなもの、それを今回の神々だとすれば。僕たちはその生命の根源である大いなるものにもう一度感謝して・配慮して生きるということが必要なのではないだろうか。
文明に対するアンチテーゼ、とまではいかないけれど、ちょっと立ち止まって反省(=考えること)してみない?というこういった作品の必要性。
メッセージとしては大変わかりやすい、単純にお話としてもおもしろいこういった作品がもっと必要かなと思う。ディズニーさんには頑張ってもらいたい。