「あらゆる点で新しいディズニーヒロイン」モアナと伝説の海 CFYさんの映画レビュー(感想・評価)
あらゆる点で新しいディズニーヒロイン
「アラジン」のロン・クレメンツ&ジョン・マスカーが監督を務めるディズニーの新作。
主人公・モアナは島の長の娘。島に伝わる言い伝えによれば、世界を生んだ命の女神とされている「テ・フィティの心」が、伝説の英雄と言われたマウイによって盗まれ、闇が生み出された。そのために、モアナの島ではサンゴ礁の外へ出る漁が禁止されていたのだ。
モアナは幼い頃に浜辺で「海」と出会い、それ以来島の掟で禁じられている遠い海の世界に惹かれている。
新たな長として島中の人々や家族に期待され、それに応えたい一方で海への憧れを捨てきれないのであった。
そんなある時、島で作物や魚たちに異変がおこり、自然の恵みが得られなくなってしまう。これはマウイがテフィティを盗んだことによって生み出された闇のせいであった。この異変をとめて村を救うためには誰かが海の向こうへわたり、マウイを探し出し、テ・フィティの心を元あった場所に戻さなくてはならない。
「海」に選ばれた存在としてモアナは海へと漕ぎ出す。
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・女性だから長になれなかったり、結婚させられるシーンは描かれず、男の子と同じように育てられている。
・初めから自分で使える特殊な能力を持っているわけではないある意味 「ただの人間」。マウイと出会い、自分でいろんな技術を身につけていくところは今までのキャラにはあまりなく、面白い。
・ロマンスが描かれることなく、純粋な冒険活劇。
・物語を通して存在する、悪役らしい悪役やモアナの敵がいない英雄とも悪役とも語られていたマウイはあって見ればそのどちらでもない存在で、あのカニだって脚を昔切られたというし…ココナツに至ってはよくわからない笑 ディズニーにいつもいた絶対的な悪がない、見る方向によって善が違うという点が印象的。
以上の点が新しいなと思ったし、アナ雪に続いてディズニースタジオがこれまでのディズニーの型を破ろうとしているのを感じ、興味深かった。
英語版のミュージッククリップなども見たが、今回オーディションで選ばれたという屋比久智奈さんの歌声と演技が素晴らしかった。 彼女の演技には涙が出たし、マウイ役の尾上さんも上手だった。
映画観賞前に「How far I'll go」をアカデミー賞で聞き、その他の曲にも期待していたが、個人的には頭から離れないのはその曲と、リプライズ的にその曲を使ったナンバーだけだった点が残念だった。
しかしこの一曲を書いたリン=マヌエル・ミランダはさすが。
ストーリー展開的にはイマイチ「海に選ばれた」人物がテ・フィティの心を返させるためにマウイを探さなくてはいけない理由がピンとこなかった。
最終的にマウイじゃなくてモアナが心を返してるし…もっと言えば作中でも言われてたけど海が自ら返せばよかったのでは??、と考えてしまった。
また、マウイとの関係性が弱く感じてしまった。ジーニーを彷彿とさせる面白いキャラクターではあったが、彼の行動原理の描き方が弱いと感じた。
製作陣やキャストによって期待がとんでもなく高くなってしまっていたのでこの評価。しかし冒険活劇としてとても面白くさすがディズニーだった。
劇場で見れば絶対にモアナの歌声が耳から離れないはず。
私はモアナ!と歌い上げるシーンはとりはだがたった!