「売り切るまで」ナイトクローラー 小二郎さんの映画レビュー(感想・評価)
売り切るまで
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面白かったなあ。
ジェイク・ギレンホール、悪魔的に素晴らしい。
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パパラッチを突き詰めすぎて壊れてしまう人の話かと思ったら、最初っから、道徳観念のおかしい人の話だった。
刺激的な絵、視聴率、金、そして賞賛。
それらを身も蓋もなく追い求める主人公を、周りの人は恐れ嫌悪する。
でも、主人公が取ってくるものを、周りの人も欲していた。
主人公の悪魔っぷりは、彼ら自身の小さな欲望が、リミッターを外され肥大化し投影されたものだと気付いた時、恐れは更に増していく。
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恐れていても、誰も彼に抗うことは出来ない。
アシスタントは、彼を嫌いながらも、彼同様に金が欲しい、そして彼を真似て駆引きをする。
女ディレクター(レネ・ルッソ)は、途中彼と一線を引こうとするが、間に合わない。彼に、いや自身の本能(刺激と成功が欲しい)に、ブレーキをかけられない。
レネ・ルッソがみせる、利用しようと思っていた相手にとりこまれ、「悪魔に魂を売り切るまで」の、恐れ→惑い→諦め→そして恍惚の表情が、素晴らしい。天晴れ。まさにノワール。
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撮影ロバート・エルスウィット。『パンチドランク・ラブ』『インヒアレント・ヴァイス』などなど…。壊れたものの官能がしたたる。
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