「ストレスを感じるシナリオ」リピーテッド ビン棒さんの映画レビュー(感想・評価)
ストレスを感じるシナリオ
記憶障害を扱ったモノだと分かった途端に覚える違和感。
まず、
・朝 目が覚めると自分の事を忘れてると知ってて
女性の横で寝る無神経な男
・まるで犯罪計画のように写真を壁に貼ってはいるが
あまり有意義な情報を残してないこと。
・毎朝記憶を失くした主人公に同じ説明をする効率の悪さ
本来、失った記憶の代替は外部の記録を作成するはず。
カメラのような情報量の少ない物ではなく、日記のようなものに写真等もファイルし、朝目覚めた後で時間をかけてアップデートする手段を取らないのはオカシイ。
自称夫が家を出るまで僅かな時間で、口頭説明するのは効率が悪いだけでなく、情報が不足する上 何より説明をする側の心理的な負担が大きい。
私が夫なら、記憶のアップデートが終わるまで脅かさぬよう別々の部屋で寝るなど、配慮をする。
記録方法も写真のみに頼るのではなく、自書の「文字」によるモノとするだろう。
一見合理的に見えて、ただ映像として都合のいい「カメラの動画」では役不足。
カメラが自称夫の発案でない点にも違和感。
冒頭の一連のプロセスでは、毎度不十分な記憶のまま一日を始める事になる。
自称夫の正体が終盤明らかになるが、そこでさらに違和感。
結局、
・すぐに癇癪を起こす性格なら、忍耐強く何年もの間、主人公と対峙できた筈がない。
毎朝のように繰り返す嘘の説明に耐えた事と、矛盾している。
・本人の記憶が無いのだから、記憶のない間の他人に成りすます必要はない。
現実の夫との離婚の後、自分と知り合ったとすれば良い。
・外部との接触は警戒するくせに、主人公を自由にさせているのも不自然。
主人公が過去遭遇した傷害事件が、未解決というのもあまりに都合が良い。
この設定のために、自称夫を終盤で別人格のように変える必要があったのだろうが、この変貌はとても気持ち悪かった。
