バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)のレビュー・感想・評価
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正気と狂気の境界線を行き来する幽鬼マイケル・キートンに痺れる作品。
非常に良かった。
特筆すべきは境界線を曖昧にし続けた演技・演出・構成。
現実と非現実の境界線。
正気と狂気の境界線。
画面に映し出される全ての要素が物事を明確に線引きせず、常に曖昧な部分を残して結論を出し切らない。
境界線を行き来する不安定で刺激的な展開に序盤から惹き込まれました。
境界線の曖昧さが特に目立つのがリーガンの控室。
本作は彼が控室で独り過ごす場面と、外に出て周囲の人間に翻弄される場面に分かれていますが。
周囲の人間に翻弄される場面を“原因”としたら。
控室でリーガンが独り過ごす場面が“結果”に。
第三者の目が無い中、リーガンの主観で進む控室の時間は。
現実と非現実、正気と狂気の境界線が常に曖昧で観る側も翻弄されます。
翻弄され続けた末に。
或る場面でスッと作中のルールが破られ。
……曖昧だった境界線が“完全に”線引きされる。
その瞬間を過度に盛り上げない呆気無さ、或る種の上品さに痺れました。
その後は凄まじい速度感と共に傾斜を駆け降りる怒涛の展開。
濁流に呑み込まれ圧倒される中、迎える一つの結論。
予測される結論に至ったことに、至ってしまったことに深く息を吐きました。
そしてエピローグとも言える終盤も終盤。
これまでを一新する雰囲気の中で挿入される或る場面のインパクト。
絵面の馬鹿馬鹿しさにも拘らず、それが意味することを理解して。
最後の最後まで翻弄される作品になっていました。
正気と狂気の境界線を行き来する幽鬼マイケル・キートンに痺れる本作。
話題になっている全編ワンカット風の撮影手法。
これまで観たことが無いモノを観ている興奮と共に。
事態が明確に切り替わらない違和感もあり、境界線を行き来する曖昧さを維持し積み重ねる作用もありました。
繋ぎ目を馴らしたエマニュエル・ルベツキの手腕に只々圧倒されました。
正直、話自体の目新しさは比較的少ないですが。
その見せ方、魅せ方が非常に新鮮でグッときます。
オススメです。
カメラワークの興奮、現実とリアルの境界線
バードマン
久々に面白いものを見ました
色んなレビューで、現実と妄想がシームレスで続くので分かり辛いと見ていたのですが、全くそんなことは無かったです。
「インセプション」とかを難しいと思ったタイプの方には難しいかもしれません。
テーマも明確ですし、非常に興味深かったです。
アメリカ映画の昨今のメジャーフィルムの傾向に、一度でも疑問や反感を持った人なら、とても興味深く感じたと思います。
またアカデミー作品賞は当然だと思いました。
アメリカンスナイパーとか、いつものクリント・イーストウッド節より、映像技術や扱っテーマなど含め、余程チャレンジングな作品だと思います。
ただ、マイケル・キートンの演技が……役にはドンピシャなので、上手いのでしょうけれど、映画内のキャラクターと同じで、どこか底が浅く感じてしまい、最後のシーンでも心動かされ切れないと感じました。
彼にもう少し深みがあれば、リピートして見たと思います。
エドワード・ノートンの演技の方が余程引き込まれました。
エドワード・ノートンが出てるシーンだけで、もう一つの別の映画が出来そうなぐらい、彼の演技は圧巻でした。
それと、マイケル・キートンの演技はさておいても、終わり方はあまりにありきたり過ぎて、つまらなかったです。
ただ、あの終わり方をしたことで、監督の、絶対に今のCGとバカ筋肉満載のブロックバスター映画を認めない!という気持ちだけは強く感じました。
素晴らしい映画でした。
予備知識を持って観よう
主人公役のマイケルキートンがバッドマン役だったことを知っていないとなかなか理解しづらいのでは。アカデミー賞受賞で注目を集めたので「とりあえず見てみようか」という方も多かったはず。カメラワークや役者の演技が凄いのはすぐわかるけど、結局何が言いたかったの?と疑問を抱きやすい作品。
映画自体よりも映画のバックにある現実を考えさせられます。
万人向けでは決してないけれど、映画好き・演劇好きの方は見て損はないです。
予告にあったCGを期待して見るとほぼそんなシーンはないので少しがっかりするかもしれません。
ドラムソロのミュージックやカメラワークはクセになる斬新さです。役者が役者の本領を発揮している姿が見られる映画。
なにこれ映画?
9/24二度目の鑑賞。
初回の高揚感が薄まるか…と少し心配でしたが、もっと深く理解できた気がします。
最初はあの手法とド迫力演技に度肝を抜かれましたが、今回はセリフひとつひとつの意味、役者の些細な心境の変化を表情に見たりだとか、更なるディティールにフォーカスできました。
セリフひとつとっても(特にエドワード・ノートン)いちいち真理をつきまくっている。
日々進化する現代社会の中でその利便性、事象の移り変わりの速さ、物事の本質を見られない人々。
言ってみれば蔓延する問題ではあるが、どうこうしようというよりも、あくまでもこれが今の現実であることを現実的に叫ばせる。
これがこの作品のメッセージであり、この「バードマン」自身が結局どうなったのかとかそういうストーリー的なことは、個人的には、正直、どうでもいいのです。
こんな映画を作る気概がある監督がいるという現実、これだけでもう幸せ極まりないです。
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役者、演出、脚本、完璧。
これらのアナログな要素だけでもここまで映画の枠を超越したものができるなんて…。おったまげました。
めちゃんこ長いワンテイク(に見える)撮影が、現実の世界と妄想の世界をシームレスに繋ぎあわせて、観るものを人物の心情にグイグイ引きこむ。加えて錚々たる面々の渾身の演技で心はすっかりもってかれる。
もうやり尽くされたと思ってた映画の世界だけど、まだ全然可能性があると教えてくれたすんげー作品。
何年か後にもう一度見たい映画
突き詰めたオトナには、身震いがする映画。
若い人には分からないかもしれない、
観る人を選ぶ映画だと思います。
とりたて
仕事や楽器や趣味や子育てなど、
何か一つのことを突き詰めたオトナが観ると、
途轍もない共感と切なさが襲ってきます。
突き詰めるということは
必ずピークを迎え、
若い奴に抜かれ、
時代は変わり、
自分が驕っていたことに気づき、
世界からの不必要感に苛まれる。
それにどう対峙するか、
それとも逃げるのか、
人生の大きな選択がくる。
今の僕もそうです。
そこに向かっている過程の人だって、
未来を思い浮かべてみると、
面白いかもしれません。
そんなことを
少しでも感じたことがないと、
到底理解できない話。
近年まれにみる、見事な脚本でした。
主人公を演じたマイケル・キートンは、
ショウビズ人生の波を体現している人だから、
そのリアリティに圧倒されっぱなし。
2時間通して切れ目がないように見せる、
長回しにこだわった演出ギミックも見事。
現実と空想と舞台を上手く繋げて、
重くならないファンタジーに仕上げています。
セッションを先に観て比べたのだけど、
やはりこちらには
作品賞の重みがありましたね。
間違いなく、秀作です。
うーん...
相変わらず…
思ってたのと違う
四次元の風刺画
ブルース・ウェイン
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