「一般受けはしない作品」バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡) えのきちさんの映画レビュー(感想・評価)
一般受けはしない作品
『バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)』を鑑賞。
アカデミー賞最多4部門受賞の話題作がいよいよ公開。
20年前、世界中のスーパーヒーロー「バードマン」役を演じたリーガン(マイケル・キートン)は、自身の再起をかけて、ブロードウェイの舞台に立とうとしていた。
公開前から賛否両論と言われてきた今作。
映画作品としては興味深い仕掛けがある。
例えば手持ちカメラなどを駆使して撮影された長回しのワンカットなどは前評判通り素晴らしい。
CGとままた違った映像体験を得ることができる。
ただ、面白いかと聞かれたらノーと答えてしまう。
撮影技法や映像技術などと言うものはあくまで枝葉であり、最も大切なのは脚本と演出(間)である。
俳優陣の演技力などは文句のつけようがないほど素晴らしいのだが、いかんせん全体的に混沌としすぎている。
不思議な世界観の中でフワフワと漂っているような感覚が終盤まで続く。脚本が悪いのか主人公含め登場人物達が何を考えているのか、何をしたいのかが実に分かりにくい。
そんな調子であるから行動原理も理解できず、最後まで変人たちの集まりにしか見えない。
アカデミー賞というのは決して一般向けの作品が受賞するわけではない事は過去の歴史からも理解しているのだが、それでも何故が期待してしまうものである。
今作も明らかに一般受けしない作品であり、自分が映画マニアではなくただの映画ファンだと言う事に改めて気付ける作品でもあった。
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