「栄光よ再び」バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡) 夢見る電気羊さんの映画レビュー(感想・評価)
栄光よ再び
バードマンは、明らかに主演のマイケルキートンが演じた90年前後の映画、バットマンを思い起こさせるものだ。
かつてヒーローとして人気作に出たという思いを忘れられず、栄光への再起を図る、という意味では、レスラーという映画によく似ている。これもレスラーとしての過去の栄光を取り戻そうとする男の話だったし、実際に演じる俳優が、カムバックの意味を込めて撮影していた点も似ている。マイケルキートン自身も映画スターとしてのカムバックをかけた作品であったと思う。
顧りみると家族をないがしろにしてきたし、俳優としても今は落ちこぼれ。過去の人気でしか己を誇ることができない苦々しい思い。アカデミー賞の審査員が映画業界関係者であり、俳優も数多い。その中で、この映画が評価されるのは、主人公の気持ちを最も理解できるのが同業者てあったからだろう。
どうせ、派手でドカンな映画が好きなんだろという皮肉めいた語り口も面白い。グダグダおっさんがしゃべるだけの映画なんて誰も見ない、なんていうメタ発言と言えそうな部分もあり、メタ映画的な側面もあって業界受けはしそう。
1カットのように見えるようにとっているけど、時間が継続しているわけではなく、別の時間が交差しているので、見にくいと思う人もいるだろうが、舞台演劇を見ているような効果が出ていてすごく良かった。
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