「死ぬ気で飛べ!」バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡) ヒートこけしさんの映画レビュー(感想・評価)
死ぬ気で飛べ!
凄過ぎる…ほぼ全編ワンカットに見せる撮影と編集の超絶技巧。それに応える俳優陣の熱気を帯びた芝居。イニャリトゥがスクリーンに映し出したのは戦いだ。虚実皮膜を体現してみせたマイケル・キートンに拍手を!死ぬ気でいけば飛べるんだ!
でもマイケル・キートンがアカデミー賞を獲れんかった理由はわかる気もする。だって「かつてスーパーヒーロー映画で一斉を風靡したが今は輝きを失った老俳優」ってまんまキートン本人やもん。それ演技じゃないよっていう。つまりミッキー・ロークが『レスラー』で獲れなかったように…
『バードマン』と『レスラー』はどちらも「死ぬ気で飛べ!」っていう作品。死ぬほど元気をもらえる!
長回しの方法論はもちろんヒッチコックの『ロープ』が一番近い。あえて言うなら『ブギーナイツ』のオープニングとか『マグノリア』のテレビ局のテイクを120分に引き伸ばした感じでもある。要するに凄過ぎる。エマニュエル・ルベツキは『ゼロ・グラビティ』で出来なかったことをしたのね
『バードマン』は最近観た作品だと『シェフ 三ツ星フードトラック始めました』に結構近いと思った。虚実皮膜。SNS。批評との関係(劇中と現実ともに)。ちょっと『そして父になる』な着地…強引か?でも『ブラック・スワン』に近いとか当たり前やんか。そんな例えおもんないわ
『バードマン』の予習は『バットマン』と『バットマン リターンズ』がマストと言いたい。劇中マイケル・キートンが「俺の全盛期は1992年だ」って言うけど1992年は『バットマン リターンズ』の公開年なんですねえこれ
俺はアカデミー作品賞も全然アリな傑作だと思う。まあアカデミー賞がアメリカの映画賞であることを考えれば『6才のボクが、大人になるまで。』が獲ルベキだったとも思うけど
『バードマン』はスクリーンで剥き出しの作為が鬩ぎ合っている様が素晴らしいと思う。でもそここそが鼻につくっていう人も多いんだろう
俺も死ぬ気で飛ぶ!