「この狭っ苦しい舞台裏こそが大宇宙に連なっているのだという、発見。」バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡) お水汲み当番さんの映画レビュー(感想・評価)
この狭っ苦しい舞台裏こそが大宇宙に連なっているのだという、発見。
映画なのに全編がほぼワンカットだって、どういうことなんだろう。
……と、前宣伝を見て思っていたのですが、その宣伝文句に負けない、凄いカメラワークを楽しむための映画でした。
撮影が「ゼロ・グラビティー」のカメラ担当だと知って、なるほどねと思ったものです。
ハンドカメラだけで撮影されているのに、まったく手振れしないというのは、偉大な技術の進歩のおかげでしょう。
観客は、おいおい鏡にカメラが映っちゃうよ、などと、まるで撮影スタッフの一員になったかのようなスリルまで味わうことができます。
ブロードウェイの狭い劇場の裏側を、観客は演劇のスタッフのような視点から参加し、まるで劇場の裏話を舞台にしたテーマパークみたいです。
こういうカメラワークが成立する時代になったのだ、と、感慨を味わいました。
前作の「まわりに何もない虚無なる大宇宙」を描いたカメラマンの次作が、この狭っ苦しい舞台裏だったという一見意外な点も、しかしこれこそ正常進化なんだよなぁと納得できる、そういう映画でした。
そんな凄いカメラワークを、ぜひとも楽しんで欲しいと思います。
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