ナイト・スリーパーズ ダム爆破計画のレビュー・感想・評価
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米国西部のオレゴン州。 田舎の町だが、環境保全に熱心な人々もいる。...
米国西部のオレゴン州。
田舎の町だが、環境保全に熱心な人々もいる。
農場で働くジョシュ(ジェシー・アイゼンバーグ)もそのひとり。
温泉施設を経営するディーナ(ダコタ・ファニング)とともに、活動家ハーモン(ピーター・サースガード)の計画に参画した。
彼らの計画は、ダムの爆破。
信念に基づいての行動だったが、意図に反して、犠牲者がひとり出てしまう。
ダム下流でキャンプを張っていた男性だった・・・
という物語で、ケリー・ライカート監督作品にしては有名俳優が出演しています(先に挙げた3人の他には、キャサリン・ウォーターストン)。
前半は、爆破のための準備行動。
3人で行うのでいたって小規模。
爆薬用の化学肥料の購入、使用するボートの購入、爆薬づくりなどが丁寧に描かれます。
中盤は、爆破当日。
予想外に湖にキャンパーたちが多いとか、爆薬積載のボートをセットしたところ湖畔の道路に自動車が現れるなど、ライカート作品にしてはサスペンス描写があります。
個人的には、爆破計画が頓挫する物語なのかなぁと予想しながら観ていたのですが、あらすじにも書いたとおり、犠牲者が出てしまう。
この終盤が、アメリカを描くライカート監督らしさが存分に発揮されます。
環境保全という大義のための暴力行為が、結果的に人死にが出、後悔と葛藤が生まれる・・・
大義をとる者、後悔の果てに行きつくところまで行ってしまう者、葛藤と後ろめたさを抱えたまま生き続ける者・・・
劇中、三者三様の生き方を選択するのですが、これがアメリカ(というか人間のというか)の生き方・・・
オレゴンの風景、西部詩情を醸し出す音楽、いつもながら、ケリー・ライカート監督作品に期待する魅力は大いに表現されています。
それにしても、日本語タイトルがよくないよなぁ、と思うことしきり。
抑制的な語りで物語が進むため、アクションやサスペンスへの期待はやや控えめにしたい一作
社会や文明から隔絶したような人々を半ば一人称的な視点で描いてきたライカート監督としては珍しい方向性の作品…、と思っていたけど、全体的にはやはり、抑揚のついたアクションよりも静かな語りを重視する、ライカート監督流の作劇術が行き渡った作品でした。
理想主義だけど荒事は苦手な環境活動家、ジョシュ(ジェシー・アイゼンバーグ)とディーナ(ダコタ・ファニング)が、元軍人のハーモン(ピーター・サースガード)を引き込んで、ダム爆破という大胆な計画を立てるが…、という彼らの計画とその顛末が物語の主軸となるんだけど、最初からいい加減な言動のハーモンに振り回されるジョシュとディーナの姿に、この計画がどうなるかすぐに見当が付いてしまいます。ちょっと『キリング・ゾーイ』(1993)とか『アメリカン・アニマルズ』(2018)を連想してしまう展開に、でも二人ともそれほど悪い人間じゃないんだけど…、と複雑な心境になったり。
すごくいろいろ考えているのに、その着想にまったく地に足がついてなくて、事態が悪化してから現実の壁に気が付く、という役どころを見事に演じて見せたジェシー・アイゼンバーグの呆然とした表情が非常に印象的。
せっかくライカート監督を抜擢しているのに、環境テロリストの暴走を描いた典型的なサスペンス映画であるかのような打ち出しをしている制作側の売り出し方の齟齬がすごくて、作品以外のところで笑ってしまいます。そんな手に汗握る(冷汗はかくけど)爽快な作品ではないので、そこだけは注意を!
ジェシー・アイゼンバーグが似合ってた。 現実的でリアルな再現のよう...
ジェシー・アイゼンバーグが似合ってた。
現実的でリアルな再現のように感じた。
環境破壊を憂うのは大きい悩みだが、考えは浅くて見えてるものは小さい。
結局、自分勝手。
ダム破壊しても暴力が話題になり、環境破壊についてのメッセージは受け取られない。
ジーン・シャープの非暴力闘争を思い出した。
今月の100分で名著の題材になっている。
まあまあだった
ケリー・ライカート監督の『ミークス・カットオフ』も眠かったけど、こちらも眠い。ダムを爆破するまではなかなかのスリルで、特にボートを進めた先に車のタイヤ交換があったところはハラハラした。
しかし、その後は日常で、心に重いものを抱えて過ごす日常なのだけど、まったりとしており眠くなる。
肝心の場面は見せない作りで、主人公が女の子を絞め殺したような感じがほのめかされる。最後の最後も登録カードを書くのか書かないのか不明なまま終わる。また、もう一人の実行犯の男からの電話で、女の子から度々電話があると言っていたのも真偽が不明だ。彼と彼女は小屋から性の営みをしているかのような声が漏れていてそんな関係だったからだろうか。だとしたら、彼が彼女のケアをすべきで、主人公になんで言うかな。そんなことも、どこまで額面通り受け取っていいか不明だ。
しかし、特に解明したいと意欲がわくほどの映画ではなかった。
一定のトーン
終始、一定のトーンを保ちつつ地味に起こらない物語展開の中で、過ちを後悔しながらも日々の生活を送るしかない男女二人。
互いの関係性など余計な説明がない不親切さが全体的に淡白な印象で、スリル満点なサスペンス要素など娯楽テイストは全て排除したような演出描写と、愚かな主人公に共感も出来なければムカつきもしない、淡々と傍観者として鑑賞する感覚。
小さな犠牲と大きな犠牲、正しい行いも人の価値観によって隔たりが、罪を犯す行為で正す正義は身を結ばず、人間の愚かさと恐ろしさがシミジミと。
最初から最後までとにかく地味
終始淡々としていて、ほとんど起伏の無い映画でしたので、正直この内容で112分はちょっとキツかったかな。
せめて90分以下にしてくれたらまだ見れた気もしましたが。
ジェシー・アイゼンバーグ主演で共演にダコタ・ファニング&ピーター・サースガードと、日本では劇場未公開ながらなかなか豪華なメンバーだったので、怪しい副題にハズレ臭は漂っていましたが、地雷覚悟で見てみたら・・・ってまあそこまでハズレって言うほどのハズレでは無かったですけど、とにかく地味過ぎて未公開も思わず納得の内容ではありましたね。
一応ジャンル的にはサスペンスになってますが、サスペンスと言えるほどの「コト」は最後に少しあったぐらいで、あとは終始地味なテロ活動のみ。
しかもそのメインの環境テロ、副題にもなっている環境保護を名目とした水力発電ダムの爆破までがとにかく長い長い、そこに至るまでの活動も恐ろしいぐらい地味な活動で、映画的な見せ場らしい見せ場はほぼ皆無、まあ実際のテロは実はこんな地味な工作から成り立っているのかもしれませんが、映画として見るにはちょっとねぇ・・・。
勿論、テロ行為がメインの映画ではないですから(邦題はテロメインの映画のようですが)、その後のサスペンスが面白ければまだ救いはあったのですが、こちらも地味に盛り上がらずで・・・。
ジェシー・アイゼンバーグの挙動不審ぶりが妙に嵌っていたところだけは印象に残りましたが、他はこれと言って特に印象には残らずでしたね。
人は絶対死なないからと言う甘い覚悟で行ったテロ行為が思わぬ結果を招き、そこからそれぞれの関係性が破綻していく心理描写が見所と言えば見所ではありましたが、カメラワークも悪かったしとにかく暗くて(映像も内容も)、まるで睡眠薬のような作品でした(苦笑)
気のせいか、ダコタも終始眠そうな顔をしていた気が・・・。
どこまでも不運な男の狂気な町に
まず感じたのはショーン・ペンカッコいい!
そして狂ってる車修理屋、美しい人妻、チンピラ気取りの男、何でもお見通しの盲目?男。
こんな田舎の町は嫌だ。荒野の小さな世界。そこには強烈な狂気が溢れている。
ストーリー展開としては何度もいい意味で裏切られる見ごたえのある映画でした。
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