料理人ガストン・アクリオ 美食を超えたおいしい革命のレビュー・感想・評価
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ガストン個人を描く映画ではない
ガストンにフォーカスが集中している映画だと誰もが思う。 彼の素材や1次産業者への敬意、料理に対する態度は素晴らしいし、料理人としての才能は間違いなくある。 そして、人間性も素晴らしいことが伝わってくる。 ただ、冷静に考えるとこのレベルの料理人は日本にも少なからずいると思ってしまう。 「革命」という言葉が踊り、国民的英雄とまで彼がなったのは、彼がペルーをベースにしたからだろうなと思った。 日本は世界遺産「和食」だけでなく、世界で認められているものがたくさんある。 だから海外で少々成功したくらいでは英雄とまではなれない。 一方でペルーは…。 ペルー人の世界における扱いや国内の暗い情勢、などが映画の中でも描かれていた。 実際、著名な遺跡以外に世界的に認められているものは思いつかない。 そういう場所で料理という人類の共通言語で世界に認められたから、彼は英雄となったのだろう。 というように見ると、この映画はガストンを追いつつも、彼がどういう人物かを描きたい映画ではないことが分かる。 そして、そのように観たほうがより深く楽しめる映画だと思った。
絵はキレイだし編集も素晴らしいが…
なぜか退屈に感じてしまった。 確かに料理人の志や思想が素晴らしくて、成功した理由もよく分かる。 しかしながら、内容が少し薄過ぎるような気がした。ペルーの料理に革命をもたらした、というよりもつくり上げたと言えるこの偉業、評論家などのインタビューだけでなかなか心に響くとは言い難い。 唯一、食材を大事にする姿勢、そのものだけでなくそれらを作る人や捕る人なども含めて愛しいと思う料理人の真心には心打たれた。 その他、料理人が語る理想は、なぜか奇麗事のようにしか感じられなかった。 決して料理人を胡散臭いとか思ったわけではなく、むしろ敬服してしまったくらいであるのだが、あまりに映像がスタイリッシュ過ぎるからなのか、その語りに一瞬ホントか!?と感じてしまうところが多々あった。 個人的には、ふらふらしていたガストンが何故にこれほどの料理人になりえたのか、その本当の理由がもっと知りたかった。 そうは言いつつも、音楽も映像もよくできているので、多くの人に受け入れられる作品ではないかと思う。
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