「男と女のセオリー。」博士と彼女のセオリー ハチコさんの映画レビュー(感想・評価)
男と女のセオリー。
かの有名なS・ホーキング博士の知られざる半生を綴った本作。
存命人物を神格化せず、その天才部分は大いに評価しながらも、
私生活における諸問題を彼と彼女の方法で体現したことを描く。
天才も普通に「オトコ」ではないか、それを支える献身的な妻も
普通に「オンナ」ではないか、と共感できる部分が多い故切ない。
公開日が同じだった「イミテーション・ゲーム」と大いにダブる
のは、性愛における人間の体質を前面に推し出しているからか。
論説も解読も叶わない空間を保つ人間の果てしなさを痛感する。
しかしこの夫婦には博士が発症してから3人の子供が生まれた。
誰かこの謎を説いてはくれまいかと鑑賞後に思ってしまったが
人類の発展を願って博士にはまだまだご尽力を頂きたいところ。
余命2年と宣告された博士との結婚後、体力は衰えるも変わらず
元気な夫の介護生活に、子宝を抱えた妻は徐々に疲れ果てていく。
このあたりは妻目線で見るとその過労に共感できる描写が多く、
もう「愛」だの「恋」だの言ってられない「生活」が重く圧し掛かる。
愛していれば全てをこなせるなんて、大間違い。
妻が他の男に癒されていく過程も、介護を主とした生活に夫が
他の女を選ぶところも、誰にも否定できないことだろうと問う。
その功績に焦点を置きながらドラマ性も完備したイミテーション~
と比べると、今作はより私生活の内情に深く切り込んで、互いの
心情を余すことなく見せる。従って博士の功績の、どこがどの位
凄いのかがあまり把握できなかったが^^;ラブストーリーとしての
興奮度は高い。加えて主演男優賞を受賞したE・レッドメインの
本人かと見紛うほどの為りきりぶり。しかし彼の傍で支え続けた
ジェーンあっての彼だから、これはW受賞させてやりたかったな。
(周囲の人間関係に恵まれていることも救い。壊れなくて良かった)