「この作りでファンは納得するのか?」ワイルド・スピード SKY MISSION 三遊亭大ピンチさんの映画レビュー(感想・評価)
この作りでファンは納得するのか?
「ワイルドスピード スカイミッション」見ました。このシリーズは第2作のみ見ておりまして、それも10年前くらいだから中学生の頃でした。当時は凄く興奮した。特に終盤、ガレージから大量の車が出てくる所など。
ステイサムやカートラッセルやシャイモンフンスーにドゥウェインジョンソンが出てるのを見ると、このシリーズも超絶人気シリーズになったんだなと実感する。ただ今作を見る限り、ファンはこの作りで納得してるのか?と思わざるを得ない。私が過去作を見てないからかもしれないが、ミッションで車を使う意味が全く分からない。端的に言って、話がメチャクチャすぎて笑ってしまうレベルだった。
言いたいことは色々あるが、まずはこの映画のスカイミッション感が一瞬しか味わえないのは残念すぎますよね。しかも全然スカイのミッションではないし、あのミッションを車でやり切ろうとするのは得策ではない気がする。で、なんか女をトラックから救出した後はどーするのかーと思ったら、そこからドムの車に飛べって言いましたからね。こいつらの思い付く作戦とやらの全てが雑。説得力がなさすぎて話にならない。
あとは、全体通して時間的な説明がない。なんかロサンゼルス?にいて、いきなり東京行くって言い出して次の瞬間に東京NOW。そのあと前述のスカイミッションがあってからのアブダビへGO。このスカイミッションからアブダビの流れは、直行してる風だけど、アブダビでは衣装も外行きのフォーマルだし車も全員変わってる。ここを見て首を傾げない人はいないと思うけど、もうちょい説明してくれないと話に集中できないよ。
先ほど作戦が雑だと言いましたが、アブダビの無人工場でステイサムを急襲してましたね。そこでステイサムがこんな事を言います。「たった12人で来たのか?」と。このセリフがこの映画の全てです。たった12人で来たにも関わらず、ヴィンディーゼルとポールウォーカーは何故かTシャツ一枚なのは大目にみるとして、あんたら車屋も捜査官も危機感が足りなすぎるよ。結果、あっさり"神の目”を奪われてるしね。普通の映画だったらそこで車屋はクビだけどね。
キャラクター性も疑問です。全員クールぶってるからなのか、アクションシーンでハラハラドキドキしない。派手には作られてるけど、ピンチもピンチに見えないよ。全然おもしろくないです。一番引いたのは最後にヴィンディーゼル死亡か?の所。ポールウォーカーが必死に蘇生措置をしてるのに、ミシェルロドリゲスがポールに「お前どいてろ!」みたいな事を言う。で、なんか感動風な事を語りかけると...ヴィンディーゼルが見事に生還。え?何が起きたの?適当な演出も大概にしてほしい。
最初に、ファンはこの作りで納得してるのか?と言ったが、それを一番感じたのはステイサムVSディーゼルのラストバトル。彼らが格闘で決着を付けようとするのはファンは許せるのですか?だってこの映画は車の映画なんだし、これまでどんなメチャクチャなミッションだって車でやってきたのに、最後はバカみたいな殴り合い?バカにしてんのかよ。
と、たくさんの揚げ足取りをしてきましたが、ポールウォーカーに捧げるラストは泣いてしまいました。バーベキューをしててヴィンディーゼルが1人で帰宅の途に着くと、ポールウォーカーが追いかけて来て「さよならも言わずに行くのか?」と言わせる。それはこっちのセリフだよ!もう本当にここで泣いてしまった。この作品に何の思い入れもないけど、一映画ファンとしてポールウォーカーを見れないのかと思うと残念でならない。撮影途中で亡くなったみたいだが、ちゃんと完成してるのは本当に良かったと思う。今作を見ていて、何度も何度も何度も帰りたくてしょうがなかったけど、ラストまで帰らなくて良かった。ありがとう、ポールウォーカー。
この映画を作った人は、派手に作りゃ観る人は無条件で喜ぶと思ってるのでしょう。バカにされたものですね。確かに完全無欠のアクションシーンがあるから細部は気にならない映画なんてたくさんあるが、これはアクションも細部も雑なんです。この映画が全米なんとかランキングの歴代4位になったという事実は信じられないし、マイケルベイの映画がマトモに見える事まちがいない!