劇場公開日 2015年7月4日

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「非常時にあらわになる人間の本性」フレンチアルプスで起きたこと 琥珀糖さんの映画レビュー(感想・評価)

3.5非常時にあらわになる人間の本性

2022年8月25日
PCから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

2015年(スウェーデン他合作)
この監督の(リューベン・オストルンド)2017年作品「ザ・スクエア思いやりの聖域」を
以前に観ていました。
一見完璧な善人に見える人間が何か事が起こった時に取る行動。
とっさに身勝手で思いやりのカケラもない本性が露わになってしまう。
「ザ・スクエア・・・」ほどのインパクトはないのだけれど、
十分に意地悪な映画です。

フレンチ・アルプスにスキー・バカンスに来た家族4人。
若い夫婦と幼い娘と息子。
昼ごはんを展望テラスで食べようとしていたその時、突然目の前の雪山が崩れて雪嵐が
凄いスピードで襲ってきます。
お父さんのトマスの逃げ足の速いこと速いこと・・子供に見向きもせずに、自分1人逃走したのです。
結局、雪崩はレストランのオープンテラスを超えず事故には至りません。
しかしトマスの妻エバが感じた夫への不信感は、拭い去れない大きなものでした。

基本的にお洒落な映画ですし、スマートです。
白人夫婦と白人の子ども達が見るからに美しく、日本人家族には真似出来ない、
ハイソ感がありました。
だけど責めに責める妻のエバ。
言い訳の言葉を言えない(言う気がない?)トマス。

そこに年の離れた夫婦が参入して、彼らもお互いに腹の中の探り合いを
始める始末。
そしてラスト。
帰宅する彼らが乗る中継点行きのバス。
運転手はなぜかめちゃくちゃ危険な運転をします。

このシーンになんの意図が隠されているか私には不明でした。
結局、この家族はどこに着地点を見出すのか?

Wikipediaにはコメディ映画と書いてあるけれど、コメディにしては、
笑えないし不思議な映画でした。

兎も角、お父さんは子供を2人、両腕に抱えて逃げましょうね!
と、教訓になる映画でした。

琥珀糖