「生々しすぎる」シーヴァス 王子さまになりたかった少年と負け犬だった闘犬の物語 SHさんの映画レビュー(感想・評価)

3.5生々しすぎる

2015年10月27日
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鑑賞方法:映画館

悲しい

最近流行りの手持ちカメラ満載で、多少気持ち悪さを覚える。ただ、それは単にオシャレ感覚の手持ちカメラの手法ではなく、リアルさを追求した、リアリズムでった。それゆえに尚更、嫌な気持ちにさせられた。
犬は人にくい物にされ、子供は大人のくい物にされる。どこかで誰かがそれを止めなければ、永遠と負の連鎖は続いていく。ピュアマインドの子供は真っ先にそのマイナスイメージを掴み取るのだが、それを止めるだけの力が無い。分かっていて知らないふりをしている大人こそが止めなければならないのだが、悲しいかな自らの欲望こそが大事なものとなってしまうやるせなさーー。
ーーと、まぁ重々しいものがダイレクトに伝わってくる凄い映画。闘犬シーンはどこまでが本当なのか。いや、あれはかなりのレベルで本当の闘犬を撮影しているはず。そういう面ではかなりの問題作かもしれない。
シーヴァスが憎ったらしいあいつらの喉元に噛み付いてぶっ殺してくれれば、スッキリ満足の映画になったかもしれない。その場合、せっかくのリアリズムがぶち壊しだが、笑って終われるー、ただ、世界的な上映はなかったであろうが。そんなことは決してするはずも無い利口な犬、リアルな犬像を描ききっているゆえ、笑えない終わり方になっている。

SH