解放区のレビュー・感想・評価
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それよりお前のリアリティってなんなん?
画質や空気にドキュメンタリー感が溢れていて、ついぞ、ノンフィクションなのではないかと思い込みそうになるが、早い段階で「そうでない」と気付く仕掛けを用意している(本山の部屋取材のカメラで)。おかげで、どれほど真に迫っても安心して観られる。・・・そうわかっていたのに、なんだよ、これ、どっかからは本物の映像撮ってんじゃないか?って気になってしょうがない。フィクションとノンフィクションの境のすれすれをみせつけられているようなのだ。
はじめ、理不尽なディレクターにこき使われるADであった須山も、次第に同じ理不尽にまみれていく。それは、仕事が彼をそう変えたのか?西成という土地がそうさせるのか?堕ちていく須山を演じる太田(監督兼業)の、はじめの頼りなさっぷりからの変貌は、素なんじゃないかと思えるほど堂に入っていた。おそらくこのままこの世界に引きずり落とされていくのだろうし、当初の目的の達成も中途半端だし、彼女ともなし崩しだし、本山との関係さえ崩壊しているし。だけど、そんなぐらぐらな須山の立ち位置こそが、目を離すことができないこの映画の魅力なんだと感じた。
西成の人々の生き様なんて知る由もない。真実は画面の中の一部だけだろう。「どん底の人間なんて救えねえよ、勝手に上から眺めていい気になってんじゃねえよ」その罵声が、傍観者である僕の耳にこびりつく。
ふと、須山はあのまま走ってどこか遠くに逃げきるんじゃなく、いつの間にか、どっぷりと西成の住民となり、あの闇夜の立ちんぼの一人になってしまうんじゃないか?そんな想像をしてしまう。ああ、キツイなあ。
いまいち
西成のリアル、現代の若者のリアル。これらをドキュメンタリー風ドラマで上演するとのことだったのだが、西成の20年以上前からある実にステレオタイプなイメージしか表現されていなくて残念。西成ってリアルはこんな感じなのか?とか今更言ってる人は教養が足りな過ぎと思う。
わざわざ探し続けている少年や主人公、そしてひきこもりの男などがそれぞれうまくいかず底辺からぬけられないという内容に関しても、若者が這い上がれない現代社会をリアルとして皮肉的・不条理的に描いているようにも思えるが、実際大阪なら拳月やテポドンなどの半グレを始めもっとガキのやつらでも成り上がりまくって反社会的ではあるが成功しいてるという現実もあるので、弱者の上澄みを拾ってそこだけ安易に魅せてるだけだなぁという感想。この映画のドキュメンタリーっぽさがより一層社会の分断やヒエラルキーを助長するようで偏向的だなと感じました。
太田監督であること、そして助成金を返上してまで上映したというパンクさに期待していただけに残念でした。
見たいけど見たくない
興味はあっても立ち寄れない街、西成区
映画を通して、私自身も西成区に足を踏み入れた気がした。
思っていたよりも優しそうに見える街の人、でも、本当に思ってくれてる訳じゃない。
誰しも弱いから、迷い込んだら危険
でも最後に引きこもりの本山が強くなっていて、本当にドン底の人間を救えるわけない(セリフ間違えてたらごめんなさい)っセリフが突き刺さった。
現実の世界で生きると人は変われるのかな
ともかく衝撃的で、怖いのに見たいのに見なくない。
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