「鶏が先か卵が先か」プリデスティネーション ジョニーデブさんの映画レビュー(感想・評価)
鶏が先か卵が先か
12モンキーズのように、タイムマシーンを利用して、未来に起こる惨劇を未然に防ごうとする話。さらに、もうひとひねり加えられているかが。
タイムトラベルで常に起こりうるタイムパラドックスの問題を、敢えて逆手にとって面白さに変えた タイムトラベルものの傑作のひとつだ。
冒頭はいかにもSF映画らしい出だしだったが、その後すぐに主人公がバーテンダーになっていて、その店にハンサムな男性客がやってくる。ジョークを言ってくれないかと言われ、バーテンダーが「鶏が先か卵が先か」の話をする。あとで、この言葉がまさか重要な伏線になっていたとは思わなかった。青年が、「私が少女だった頃・・・」から始まる独白が延々と続き(私もバーテンダー同様、青年が私が“少女”だった頃、と言いだしたのには驚いた)、タイムマシーンものの映画にしては関係のない話が長すぎないかと思ったが、あとでこれも重要な話だったことがわかる。個人的には、彼(彼女)のこの話が一番面白かった。このエピソードをもとに別の映画にしたほうがよかったと思ったくらいだ。この女性、どこかジョディ・フォスターに似ていて、最初はそれほどでもなかったが、映画が進行していくうちにだんだんとその魅力に引き込まれてしまった(好きになってしまった)。
肝心の、主題のほうは、タイムマシーンものでは常に矛盾が生じるが、この映画でも同じ疑問が生じた。しかも、こちらはさらに時空の無限ループのなかでの「鶏が先か卵が先か」という問題も生じている、というか、それがこの映画が言いたいことだったと思うが、どうしても矛盾がしっくりこない。ただ、逆説的に言い換えれば、このタイムパラドックスそのものを楽しむ映画かもしれない。
いずれにしても、前述のとおり、私が少女だった頃の話には惹きつけられた。眼鏡をかけた彼女は魅力的で、このエピソードの部分だけでも見る価値があった。あとで知ったが、ジェーンとジョンが同じ役者だったとは驚き。