「たそがれの時間、あなたに」暮れ逢い kakerikoさんの映画レビュー(感想・評価)
たそがれの時間、あなたに
髪結いの亭主や仕立て屋の恋、私的にお気に入りのイヴォンヌの香りに橋の上の女。
同監督の最新作、公開前に監督自ら来日してのPRとならば、期待せずにはいられなかった。
確かに作品全体の美意識、カメラの追い方、俳優に言葉でなく眼や表情で語らせるやり方もルコントらしさはある。でも、何か今ひとつ過去作品ほどに惹きつけられなかった。
この女主人公のように想いが焦がれ待ち侘びたその日がやってきたというのに (^_^;)
若く美しい二人の一方で初老の夫役アラン・リックマンが印象深い。病の床で妻に詫びるシーンがある。親子程の年の差婚で慈しみ護ってきた妻が自分が率いれた若い男に次第に心奪われていく様を、そして男も瞬く間に妻に魅了されたのを目の当たりにした時…瑞々しい感情の湧き上がる様な勢いは抑えつけても無理なのだと彼は理解していた。だから二人を物理的に遠ざける事、時間を置くことでその愛は一過性のものだということにしたかったのかもしれなかった。そう、ルコントの描く男は向かいの窓からこっそり慕う女性を見つめているような(笑)満たされない哀愁が漂っている。
情熱で突き進むラブストーリーでない展開に見え隠れするほのかな炎。
消し去るか、それとも見守るのか、、見る側の心の鏡が満足度を左右するものなのかもしれない。。
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