「ハリウッド映画のパロディ」仮面ライダー×仮面ライダー ドライブ&鎧武(ガイム) MOVIE大戦フルスロットル くんぞうさんの映画レビュー(感想・評価)
ハリウッド映画のパロディ
非常に興味深かったのが、今作は、ハリウッド映画のパロディがふんだんに盛り込まれている。坂本浩一監督作品「Movie大戦アルティメイタム」での「マッドマックス2」パロディのようなシーンが幾つか存在する。
仮面ライダー鎧武と仮面ライダードライブが、明らかに「スターウォーズ」のデススターを思わせる敵の根城に、「バックトゥザヒューチャー」に似せたタイヤが変形する空飛ぶ車に乗り込み、マイケル・ベイの映画のように激しく言い合いをしながら運転をする描写など、「アベンジャーズ」でのアイアンマンのビルからの落下変身シーンを彷彿とさせるシーンや、そういう意味ではかなり興味深く見た。
毎年恒例行事になった、二代ライダーをクロスオーバーさせるお祭り企画である。最終回を迎えた作品。始まったばかりの作品。これがひとつのスクリーンに共演する。
流石にここまで続くと映画というより恒例行事という言葉がふさわしい。こういう時期ですから。一応やっておかないと。というスタンスで作っている感が拭えない。
初期のMovie大戦は、シリーズの語られなかった設定やキャラをフィーチャーしたり、アクションや語り口でまったく新しい感動とカタルシスを与えてくれる意欲作など、映像化する意義があったものが多かったのだが。
ついこの間最終回を迎えた仮面ライダー鎧武の今作で描かれるお話は、すでに役割を終えた話とキャラクターに無理やり敵を作り、戦わせている印象。なので全体に無理があると思った。
そして今放送中の仮面ライダードライブに至っては、映画に置き換える意味があまりないような話になってしまっていた。三条さんの脚本なので期待していたが、名作揃いの過去作と比べると、いまいちとっかかりに欠ける印象。とってつけたかのような展開には少し残念な感じになってしまった。
柴崎監督のやりたいことを盛り込んだ感じは伝わってきた。ただ、憧れたのかはわからないが、クライマックスでフルCGでのバトルという、坂本浩一監督の要素を真似たシーンが登場するが、そこは坂本浩一監督の割と良くない部分を真似てしまっていると思った。
楽しめなかったわけでは決してないし、正直鳥肌が立つようなかっこいい変身も見れた。だが今後このシリーズが続いていくならば、作り手は新たな視点で、様々な工夫が絶対に必要だと感じた。