「.」アナベル 死霊館の人形 瀬雨伊府 琴さんの映画レビュー(感想・評価)
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自宅にて鑑賞。時代考証を踏まえ、そもそもの起因をじっくり描く。ただ“アナベル”は実在するが、“フォーム”家に起こった事はあくまでフィクションである。定石とは云え、窓越しの隣家や部屋越しに状況が窺えるしっかりツボを押さえた演出。自由に動いたり喋らせないのは、別シリーズ“チャッキー”との差別化を図る為かもしれないが、全ての現象を勘違いと思わせる本作の方がリアル。但し時折現れる“デーモン”が微妙──視覚化する事で判り易い反面、恐怖度は半減する。専ら画面に全く出なければ物足りなさも残る気がする。70/100点。
・本作の“アナベル”は、磁器製だが、『死霊館('13)』でも描かれたウォーレン夫妻の「オカルト博物館」に展示される実物は布製の抱き人形“ラガディ・アン”であり、ドナと云う女性が'70年、母親からの誕生日プレゼントとして贈られたと云う。ドナが七歳の時、マンションで発見された女性の死体があり、この女性の名が“アナベル”だとされる。因みに“ラガディ・アン”人形はラストのシーケンス、老婆の買い物のシーンで、部屋の奥に飾られている。
・偶然とは云え、“ミア・フォーム”役がお誂え向きのA.ウォーリス。トーク番組『エレンの部屋』で、司会のE.デジェネレスは、LAに引っ越した頃、映画で使われたロケ地のアパートに住んでいた事があると述べた。
・“エブリン”役のA.ウッダードは、撮影前に『死霊館('13)』を観ていなかったと云う。代わりに彼女は、作品のインスピレーションを得る為、実際の超常現象を独自で調査した。
・監督は『チャイルド・プレイ3('91)』の撮影監督だった。本編中に"Barclay"と云うロゴのビルが写るが、件のシリーズの主人公は“アンディ・バークレー”である。
・フィリピンの興行収入では、ホラージャンルでそれ迄の記録だった『インシディアス 第2章('13)』を抜いてトップになった。
・TVドラマ『ミステリーゾーン』の第5シーズン内のエピソードの一つに『殺してごめんなさい "Living Doll"('63)』と云うのがある。これは再婚相手の連れ子“クリスティ”と彼女の可愛がるおしゃべり人形を共に憎む男の噺であるが、この人形の名は“ティナ”であるのに対し、再婚相手の妻の名は“アナベル”である。
・鑑賞日:2016年2月14日(日)