「迸る狂気と狂気のセッション」セッション MintSleepyさんの映画レビュー(感想・評価)
迸る狂気と狂気のセッション
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最初は鬼教官の狂気に引きずり込まれる話なのかと思ったが、実際には主人公も狂気を秘めていてそれが次第に表面化してきたように感じた。自分から口説いた彼女に暴言を吐いて別れるところは変化の象徴として分かりやすいが実家での親戚との会話などで既に誇大妄想的な片鱗は見えている。歴史に名を残せない人生に価値などないと純粋に信じられるのは若さの特権だし、そのような道の先に幸福が訪れないことに気付く頃にはもう取り返しがつかないと悟るのも人生だ。ただそれでも熱狂する情熱から逃れられないのならば後はどこまでも修羅の道を突き進むしかない。終盤、二転三転するどんでん返しの果てにようやく絡み合い一瞬の奇跡を見せた二つの狂気。これから始まる更なる地獄の予感を感じつつも彼らの魂が一瞬でも至福の時を迎えたであろうことを祈りたい。
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