「健さん任侠映画の"あの熱気"ですね、これは。」セッション 松井の天井直撃ホームランさんの映画レビュー(感想・評価)
健さん任侠映画の"あの熱気"ですね、これは。
ちょっと80年代の古臭い話をしてしまうと。当時『愛と青春の旅立ち』とゆう映画がありました。
リチャード・ギアを一気にトップスターに押し上げた恋愛映画です。
男は上官の厳しいシゴキに耐え、最後には美女も射止める。
予告編を見た限りに於いては、「多分そんな話だろうなぁ〜」と思っていた。
まあ、実際その様に進んでは行くのだけれど…。
映画本編は、これを"教育"と言って良いのかどうか?眼を背けたくなる程の熱を帯びた指導が延々と続いて行く。
この2人による演技合戦は。演奏さながらのジャズのリズムに乗せたシャープな編集の効果もあり、異様な熱気を孕んでクライマックスへとなだれ込む。
いや〜、それにしても壮絶でしたね。まるでボクサー同士による殴り合いの様でもありました。
主人公の部屋にはバディ・リッチのポスターやCDがありました。だからじゃ無いけど、バディ・リッチと、ジーン・クルーパーの伝説の大喧嘩を意識してしまいましたよ。
『愛と…』に関しては最後お互いに和解を見るのですが。本作品はそれだけでは収まらない。
互いのプライドを賭けての憎しみ:血と汗:視線での果たし合いこそ、まるで剣と剣による鍔ぜり合いの様なガチンコ勝負を繰り広げる2人でした。
すると、映画を観終わって「あれ?これって…」と思い当たった。
ひょっとしてこれは『愛と…』では無く、マキノ×高倉健による任侠映画のプロットに近いんじゃないか…と。
悪行に耐えに耐えた健さんが、今まさに諸肌脱いだ瞬間に観客から「いよっ!待ってました!」と声が掛かる。
まさにあの興奮ですねこれは。
こうなると、恋愛映画としての要素が中途半端なところが本当に惜しいですね。無い物ねだりになってしまうんですが…。
久しぶりにリッチのCDを引っ張り出して聴いてみるかな。
(2015年4月19日 TOHOシネマズみゆき座)