「60点」セッション まぁと@名作探検家さんの映画レビュー(感想・評価)
60点
映画評価:60点
この作品は凄い。
何が凄いかって、
最後まで和解していないのが凄い。
この手のストーリーはありがち
そして最終的に和解するか、
悪が手痛い思いをするというのがお約束。
でも、この作品は違う。
ジャズのドラマーとして
大成を志す主人公と、
自身の美学の頂点を目指す講師との
自尊心のぶつかり合い。
その本質は《セッション》にある。
観た方に勘違いしてほしくないのは、
このセッションというタイトル。
これはジャズ音楽のセッションではない。
主人公と講師の《魂》のセッションだという事。
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以下、解説です
当初、漠然と有名なドラマーになりたいと
日々ドラムと向き合ってきた主人公は、
周りの人よりドラムが上手かった。
そこに鬼講師が現れた。
最初の出会いの段階では、
講師の言われるがまま萎縮していた。
講師からの要望を体現する中で、
漠然さが鮮明化していく。
自身の弱点や、音楽性、そして意識をしながらの練習の大切さ。
そのうち接点が増えていくうち、
主人公もまた執着の鬼となっていった。
いつの間にかチームの中で、
唯一講師に楯突く存在へと変貌していく
それほどの執着と希望を胸に。
普通、ここまでくると和解する。
でも講師は認めない。
彼は指導者ではなかったのだ。
講師は美の追求者。
講師の美学とは違う音が許せなかった。
互いの執着は激突し主人公は退学となる。
その後、色々あり講師と出会い
またチームを組む。
そこでも主人公はヒドイ扱いを受ける事になるのだが、貧弱な彼はもういない。
魂と魂
意地と意地
執着と執着のぶつかり合い。
この音楽はまさに
セッションなのだ。
上手く合わせた形じゃない、
殴り合いの統合。
だから特にジャズは関係ない。
【2021.7.26鑑賞】