「天才にあこがれる凡人たち」セッション ムゴさんの映画レビュー(感想・評価)
天才にあこがれる凡人たち
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主人公の、特に彼女との会話で明白になるが、
「僕はドラムに夢中で君を蔑ろにするはずだから、その前に別れよう」などと
もしも本物の天才なら言わない。
彼は自分が妄想する天才の道を、意図的に歩もうとしているだけだ。
これは教授も同じで、天才を発掘できるという妄想を根拠にパワハラを続けているだけで、
それが身を結んだことは一度もなく、人ひとりを死に追いやっている。
告発されればそのまま解雇され、奏者としては小さなバーでピアノを弾く男だ。
天才にあこがれてその狂気を模倣する。そんな勘違い男ふたりが、幸か不幸か噛み合う。
最後にふたりは高みへと上り詰め、圧巻のエンディングを迎えるが、
作中で彼らの音楽を客観的に評価してくる人間は存在しない。
満足げなふたりを見せ、聴衆が拍手したかどうかすらわからないまま映画は終わる。
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