「まるで家畜に鞭を使うように芸を仕込む……という趣旨の原題。このまま邦題にできないのは理解できますが。」セッション お水汲み当番さんの映画レビュー(感想・評価)
まるで家畜に鞭を使うように芸を仕込む……という趣旨の原題。このまま邦題にできないのは理解できますが。
超絶なシゴキ主義によって、一人の芸術家を誕生させるストーリーです。
ジャズの世界において、あるいは他の音楽において、このような激しい鍛練の場があったのだとは知りませんでしたが、「本物の」芸術家を目指すなら、あるいはスポーツでも何でも、天下第一を志すモチベーションの高い人間に対して超シゴキ主義で臨むことは許されうるのだと主張する、説得力の高い映画でした。
もちろん、超シゴキ主義では、本物の精鋭はごくわずかしか誕生させることができません。
その反対側には死屍累々の敗北者の山が生まれます。
だから、通常の民主主義の世界では決して認められないのだな、と哲学したのでした。
現代の教育の主流=褒めて育てる方法とは、「一定程度、質が高く、粒揃いの人材を大量に生産するためのノウハウ」なのです。
だから、その対極にある、本物の精鋭を育てるやり方として提示された手法について、自分の中ですら賛否両論ですが、これもアリかなと考えさせられました。
さて映画ですが、俳優が演奏するジャズの質が高いのなんの。驚きました。
この高い品質を得るために、どれだけの練習、どれほどの汗と血を流したのだろうと思いながら聞き入りました。
本物の映画を作るために本物の鍛練を経た(としか思えない)映画。
ひとつの狂気でありますね。
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