「この重厚感と格調高さが、このブランドのあり方を見事に更新させた」ミッション:インポッシブル ローグ・ネイション ぐうたらさんの映画レビュー(感想・評価)
この重厚感と格調高さが、このブランドのあり方を見事に更新させた
従来の「M:I」とは何かが違う。オスカー受賞脚本家でもあるクリストファー・マッカリーが監督と脚本を手がけたことで、構築されたストーリーや世界観が、気迫を持って観る者を圧倒する傑作の誕生だ。もちろん、舞台の一つカサブランカであるのに併せ、かの名作映画に似た「イルサ」という名のヒロインを据えたことも格調高さを得た要因か。演奏中のオペラハウス繰り広げられる攻防戦も、そのクラシックな作りを丁寧かつサスペンスフルに描く手法が一周回って逆に新しく思える。
挙げ句の果てにはスパイや特殊組織そのものについての問いかけも内包し、つまりはこの50年もの間続いてきたスパイシリーズを俯瞰し、伝統を更新しようとする意志が十二分に伝わってくる。トムの上限知らずの挑戦意欲も生唾ものだが、それ以上に映画界ではほぼ無名のショーン・ハリスを悪玉に据えたキャスティングには脱帽だ。あの不気味で無慈悲な存在感には心底驚かされた。
コメントする