デビルズ・ノットのレビュー・感想・評価
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ハリー・オズボーン
実話の未解決冤罪(の可能性が高い)事件をもとにした映画で、だからこそ重く辛い映画。
物語の起伏はあまりなく、ひたすら事件の詳細に迫る描写と裁判のシーンが続くのでともすれば退屈になりかねないが、俳優陣の演技力が見事にそれを補っていた。ラストは文字で説明しまくりで、むしろ映画本編より分かりやすかったが、それは実話なので仕方のないところ(笑)
悪魔崇拝や証拠の未提出や身近に潜んでいるかもしれない真犯人などなど、エンターテイメント色を濃くしようと思えば広げられる要素はたくさんあったが、真摯に事件と向き合っている姿勢が素晴らしかった。
デイン・デハーンがあんなに出番が少ないとは思わなかったし、これだけの豪華俳優陣がこういう映画を時間をかけて作るところがやはり日本映画との大きな差だなと少し寂しくなった。
頭を使ってますか?
「みんな知ってる」「みんな言ってる」「みんなやってる」…さて「みんなってどこの誰だ!?」と深く抉る一本。
かつて実在し、そして未だ終わりの見えない事件を基に。
無責任な「大衆」と「自己保身を優先するエゴ」の恐怖と醜悪さを、静かに、それ故に辛辣に突き付ける作品。
然し乍ら…
これを観なければならない層ほどこの作品を観ない、若くは作品の表面だけ撫でて、小さな自分の物差しに当てはめようとするのが現実社会の、正に「大衆」というのが真実ってのが!涙
「偽りなき者」「ノーマンズ・ランド」と並んで…
道徳の教材として採用すべし!涙
悪い後味に、改めて「人間とは?」と考えさせられる作品。
未解決事件だもの
この実話を元にした映画系が好きなのと豪華キャストというので公開を待ち望み初日に早速見に行った。
まぁ確かにドキュメンタリー的で結局犯人も特定出来ないのは仕方のないことではある、というのが見終わった後の正直な感想です。
製作側の主観というか、犯人はもしやこの人物では、と意味ありげな作り方に問題はなかったのか…
エンターティメント性にかける。
寝た!
実話なのでしょうがないがエンターティメント性にかける。かと言ってドキュメントタッチでも無いし…
デイン・デハーンもチョイ役だし。見甲斐が無かった。
ちょっと娯楽性がなさすぎる気も
観た後の後味は最悪と言っても良いぐらいだけど、あとから考えてみればそれこそ監督の狙い通りだったのかもしれない。実際に起こった冤罪(という見方がかなり強いであろう)事件をベースにしているのだから当たり前と言えば当たり前なのだけど。コリン・ファース演じる主人公を見て『十二人の怒れる男』の主人公を思い出した。しかし彼をヒロイックに描くわけでもなく、とにかく不穏な不気味さを全体に湛えながら物語は終わる…。
ただ、はっきり不満なのは目当てのデイン・デハーンの扱い…確かに派手なことをせずに見た目や演技だけで、あの短時間でインパクトを残すのは彼の風貌やお馴染みの叫び演技ならではかもしれないけど、ファンとしては物足りなさが否めない…。
劇映画にしては娯楽性があまりに低過ぎると思うので評価は低めです。ドキュメンタリーでもやればよかったのにと思う
悪魔はどこへいった。
すでに事件から20年以上が経過している。
こんな猟奇的な事件なのに、私は知らなかったので、
観る前にある程度勉強しておこうと事件を探した。
「ウエスト・メンフィス3」で検索をすると大体読めるが、
知れば知るほど恐ろしい冤罪事件の可能性が出てくる。
判決が出て有罪となった少年たちは18年に渡り服役したが、
未だ事件は未解決の謎が多く、真犯人は他にいるようだ。
そういったことを含めて鑑賞すると、これが実際の事件と
いう重みがずっしりと感じられ、A・エゴヤンらしい静かな
映像と語り口の中にゾッとする恐ろしさが見えてくる。
それにしても…。なんで子供たちはあんな目に遭わなければ
ならなかったのか。悪魔の巣窟なんていう名前のついた森奥、
確かに子供は探検の名目でそんな所へ行きたくなるものだが
異常犯罪に巻き込まれる事は当時からあったのだろうか。
多くの目撃者がありながら、警察のとった行動は酷いの一言。
初動捜査が誤っていなければ、もっと早い段階で真犯人が
判明した確率の方が高い。やがて、少年3人が逮捕され裁判に
かけられるのだが、そこからさらに偽証やら証拠紛失やら、
あり得ない実態がどんどん浮き彫りになり、逮捕そのものが
怪しいという結果になる。が、結局有罪判決が出てしまう。
もう、すべてに恐ろしいとしかいいようのない展開である。
被害子供の母親・パムは逮捕に疑問を感じるが、夫である
子供の継父がなぜか調査員(コリン)との接触を禁じるという…
犯人以外に住人全てが何かを抱えていたり、嘘をついていると
いうような行動を見せるため、こちら側も真相が分からない。
一番怪しいはずのレストランに入ってきた「血まみれの黒人」が、
どうしてその後見つからないのか?そんなことってあるのか?
誰かが真実を隠蔽し、証拠をでっちあげているとしか思えない。
逮捕された少年3人は司法取引により釈放されている。
が、未だに元重罪犯としての扱いになっているんだそうだ。
彼らのドキュメンタリー映像を観て驚いたが、ソックリである。
やけに太ったR・ウィザースプーンに驚いたが、役作りだろうと
思われる。その他の人々も髪型までソックリである(名は実名)。
未だ解決しない事件の謎を含め、深く脳裏に刻まれてしまった。
(人目の届かない場所で事件は起こる。何か対策はないものか)
冤罪はこうして起こる。
アトム・エゴヤンの映画にはある種の先入観をもっていた。
日本人にはなかなか理解できない映画を撮る人だと思っていた。
が、一転、本作はミステリーである。
実際にあった事件が題材になっていて、アメリカでは有名な冤罪事件となっている。
エゴヤンの視点も、冤罪であるというスタンスである。
悪魔崇拝を追放するのが目的だったと思われるが、判事までもがそれに協力している感ありである。
だが、捜査はきわめて杜撰、物的証拠はまったくないのに、彼らは有罪判決を受ける。
日本でも冤罪事件には枚挙にいとまはないが、日本の場合は、見込み捜査があったとしても、いろんな予断があったとしても、警察は容疑者が真犯人と思っていたと信じたい。ま、そんなわけないか。
ことの顛末は、ラストにテロップで示されるが、果たして無実の罪は晴れるのか。
人の思い込みって
テーマがテーマですし、エンタメ性に欠ける地味な作風なので、観る人を選ぶ作品だと思います。
人の噂や思い込みって、する方はなんとなくで済んでいますが、された方は人生が逆転してしまう位に変わってしまう。真実と言われていることも、常に疑って、いや深く考えなければいけないと感じました。
ハンナ・アーレントが言った「悪の凡庸さ」の意味を思い出しました。
容疑者だらけ。
実際の事件が元にあるので、映画というよりその事件に関してのドキュメント…という印象でした。
それにしても、誰もかれも容疑者に見えてきてゾワゾワしました。
未だ犯人が不明のままとの事ですが、きっと昔はこういった冤罪の事件は多かったんだろうなと思います。
ダミアン役のジェームズ・ハムリックが、個人的に素晴らしかった。
あの独特な雰囲気とカリスマ性、特に目が美しかった。
事件ルポタージュの再現ドラマ
新潮45の「殺人者はそこにいる」のシリーズと同じような、実在事件のルポタージュ的作品。
事件発覚から判決までを再現映像化。
ただひたすら、ぞっとする。
法律上の犯人は確定しているにもかかわらず、未解決事件扱いされているのはそういうことかと。
社会からはじかれるとは、こういうことなのかと。
すっきりしたオチはつかない。
なぜなら、関係者は、今日、今でも真相を追っているから。
正しい顛末を知っているのは、真犯人だけだ。
「実話に基づく」というのは普段一切考慮しない、それどころか、実話通りにしようとして無駄なシーンが入っていたり、結末がすっきりしないとマイナス評価するんだけど、本作においては許されるというか、だからこその恐ろしさがある。
非常に人を選ぶ作品なので星3.5。だだし個人的心証は4~4.5。
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