「悪魔はどこへいった。」デビルズ・ノット ハチコさんの映画レビュー(感想・評価)
悪魔はどこへいった。
すでに事件から20年以上が経過している。
こんな猟奇的な事件なのに、私は知らなかったので、
観る前にある程度勉強しておこうと事件を探した。
「ウエスト・メンフィス3」で検索をすると大体読めるが、
知れば知るほど恐ろしい冤罪事件の可能性が出てくる。
判決が出て有罪となった少年たちは18年に渡り服役したが、
未だ事件は未解決の謎が多く、真犯人は他にいるようだ。
そういったことを含めて鑑賞すると、これが実際の事件と
いう重みがずっしりと感じられ、A・エゴヤンらしい静かな
映像と語り口の中にゾッとする恐ろしさが見えてくる。
それにしても…。なんで子供たちはあんな目に遭わなければ
ならなかったのか。悪魔の巣窟なんていう名前のついた森奥、
確かに子供は探検の名目でそんな所へ行きたくなるものだが
異常犯罪に巻き込まれる事は当時からあったのだろうか。
多くの目撃者がありながら、警察のとった行動は酷いの一言。
初動捜査が誤っていなければ、もっと早い段階で真犯人が
判明した確率の方が高い。やがて、少年3人が逮捕され裁判に
かけられるのだが、そこからさらに偽証やら証拠紛失やら、
あり得ない実態がどんどん浮き彫りになり、逮捕そのものが
怪しいという結果になる。が、結局有罪判決が出てしまう。
もう、すべてに恐ろしいとしかいいようのない展開である。
被害子供の母親・パムは逮捕に疑問を感じるが、夫である
子供の継父がなぜか調査員(コリン)との接触を禁じるという…
犯人以外に住人全てが何かを抱えていたり、嘘をついていると
いうような行動を見せるため、こちら側も真相が分からない。
一番怪しいはずのレストランに入ってきた「血まみれの黒人」が、
どうしてその後見つからないのか?そんなことってあるのか?
誰かが真実を隠蔽し、証拠をでっちあげているとしか思えない。
逮捕された少年3人は司法取引により釈放されている。
が、未だに元重罪犯としての扱いになっているんだそうだ。
彼らのドキュメンタリー映像を観て驚いたが、ソックリである。
やけに太ったR・ウィザースプーンに驚いたが、役作りだろうと
思われる。その他の人々も髪型までソックリである(名は実名)。
未だ解決しない事件の謎を含め、深く脳裏に刻まれてしまった。
(人目の届かない場所で事件は起こる。何か対策はないものか)