劇場公開日 2015年1月24日

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「切ない、けど温かい!ラストも秀逸」おみおくりの作法 スペランカーさんの映画レビュー(感想・評価)

4.5切ない、けど温かい!ラストも秀逸

2016年7月26日
PCから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

泣ける

悲しい

幸せ

ラストがかなり衝撃的と言う噂は聞いていましたが、なるほど・・・確かに!
ラスト前までの展開がなかなか味のある展開で、見る側の心もホッコリとしつつあっただけに、急転直下、これは衝撃でした。
切ない、切な過ぎます・・・。
人生は何が起こるか分からない、とは言え・・・何だかねぇ。
でもラストはジンワリ、切ないけど、報われた人生かな。
主人公ジョンの誠実で優しさに満ち溢れた人柄が表れたラストは、ホント秀逸でした。

衝撃のラストへ向かうまでの描き方も、淡々と描きつつもそこかしこにクスッと笑えるようなユーモアが含まれていたりして、いつの間にか引き込まれている自分がいましたよ。
これはジョンを演じたエディ・マーサンならではの味のある演技・雰囲気があってこその作品でしたね。
生真面目、几帳面、そして孤独・・・もう本人そのものとしか思えないぐらい、役と完璧にリンクしていたと思いました。
終盤、彼に変化が起きて前向きになっていく辺りの描き方とか、本当に素晴らしかったなぁ、だけに・・・。

しかしまあ何かと孤独死について考えさせられる映画でしたね。
もし自分が孤独死したとするならば、ジョンのような方に見送ってもらいたい・・・心からそう思わされました。
ただ、現実はジョンの上司のような対応が成されるのだと思うし、正直それが正解なんだとも思います。
公務員ですから、効率よく仕事しないといけないのは至極納得。
でも、人には心がある、だからこそ死者への尊厳がにじみ出るような対応をしてくれるジョンの行為は、見てると泣けてくるんですよね。
まあリアルではああ言う几帳面で生真面目すぎる方は正直苦手なんですけど(苦笑)

孤独を知る者だからこそ、孤独死した者の心が分かる、ジョンの私生活の描き方もまた秀逸でした。
最後の案件となったビリーとの対照的な人生の描き方も、これまた印象的、それがラストであんな風に重なるとは、いやはや脱帽です。
人生は儚いものです、でも誠実に生きていれば、きっと報われる、エディ・マーサンの風貌からはちょっと想像が出来ませんでしたが、とても勇気をもらえる素晴らしい作品でした。
しかしジョン・メイって44歳の設定だったんですね、こう言っては何ですが・・・見た目老け過ぎでしょ。

スペランカー