「至福の映像」マンマ・ローマ Raspberryさんの映画レビュー(感想・評価)
至福の映像
大好きな俳優、アンナ・マニャーニ。「アンナ・マニャーニは映画のために生まれてきた動物」と誰かが言った。映画監督はただその魅力をカメラに収めさえすれば良いと言うように、彼女の存在そのものが映画に生命の尊さを吹き込む。
堂々と歩きながら次々と相手を変えて「語る」長回しのシーン。
確実なことなんて何もない、アイデンティティなんて守れない、そういうことを感知しながら挫折や破局を決して恐れない。
アンナ・マニャーニは絶えず陽気に、能動的に、イタリアの悲観と人間の古典的社会の本質を語る。
ダンテの神曲からイタリアの宗教観を滲ませながら、パゾリーニはイタリア的なるものを見事に映像化して観せてくれた。
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