「イスラエル目線である、まずはそこから。、」ベツレヘム 哀しみの凶弾 redirさんの映画レビュー(感想・評価)
イスラエル目線である、まずはそこから。、
映画や監督の背景は一切知らずにパレスチナ 見たさに、感情した。とはいえ、イスラエル映画であり、パレスチナ を扱うものということだけ事前に押さえておく。哀しみの、とくれば西岸、ベツレヘムともちろん哀しみの街てしかない。
2014年の作品。タイトル原題はベツレヘムとなっているようだ。
ヨルダン川西岸ベツレヘム、イスラエル軍に制圧されており、多くのアラブ人(パレスチナ 人)とイスラエル人そしてイスラエル軍がいる。最近はパレスチナ 問題詳しく勉強してないのでよくわからないが、とにかく複雑危険緊張マックスな街。
最初、なんでか知らんけどイスラエル人になついて、イスラエルのスパイになっている少年、その子を親身に任務とはいえ利用目的とはいえ心を通わせるようにまたスパイとして育成中のイスラエルの軍人、というシチュエーションに騙されそうになったが、基本的にはイスラエル人イスラエル国家イスラエル軍の視点に立つ映画だとすぐ切り替えた、なので本作品評価の星は少ない。これはしかたなきこと。
アルアクサと、ハマスで英雄の遺体の取り合い、パレスチナ政府が進める停戦を阻止するため仲間を階段から突き落とす、などはネチネチとしっかり描かれており、パレスチナ 人の間にはもちろん長年の苦難の中で仲間割れもありそういうこともあるでしょうよ、と思いつつも、強大な国家とその国家による暴力装置に守られたイスラエル人は個人としての正義も国の正義もそのまま一つになっている、ならざるを得ない、そこから少しでも個人の正義、哀しみとか心の領域にぶれていくとこっぴどくやられるけど、、、
ということで、しかしながらベツレヘムのような複雑な土地に細々とかつかつに暮らすパレスチナ 人、日々の闘いや暮らしはこんな風なのか、すこしはリアルもうつしだされているだろうからやはりそこは興味深い。
アラブ語を好んで使いアラブ人とも親しくする主人公の男、しかし正体が分かればアラブ人パレスチナ 人には敵、
一貫して武器なきものとフル装備軍隊の格差ある勝てない戦いと貧富の差と支配と被支配と、それに疑心暗鬼人や仲間や大義への裏切り、という暗い内容。コードネーム イサウくんを利用した主人公のイスラエル人の男はイサウを、ハビビと呼び愛情を見せるようなシーンが随所だが所詮イスラエル軍の暴力装置の中での振れ幅である。ハビビなわけない。だから最後までハビビに殺される。
ベドウィン、砂漠の遊牧民は今でも必要か、とアルアクサの指導者にファタハ(パレスチナ 政府)の偉そうな政治家が言うのも辛辣極まりない、が、これもやはりイスラエルの都合イスラエル目線でもあるので、この作品には限界がある。