「美術館への道。」みんなのアムステルダム国立美術館へ ハチコさんの映画レビュー(感想・評価)
美術館への道。
12年を費やして少年の成長を追ったドラマも大したものだが、
今作も負けてはいない!?10年間に及ぶ国立美術館全面改修
にまつわる奇想天外、且つ壮大な人間の記録だ!(誉めてます)
そもそも観る前にタイトル「みんなの」とは何ぞや?と思って
いた。そしたら2008年に一作目「ようこそ、」というのがある。
一体どういう作品なのかと思えば、何と2004年~2014年まで
世界的所蔵品を抱える国立美術館が閉館されていたのだった。
いや、分かりますよ。建物を見れば。あーもう改修しないと
ヤバいよね?というレベルの古さ。しかし何を10年もかけて
工事しているんだ?と普通誰もが思う筈、さてその内情とは。
あー愉快愉快。面白い面白い。失礼ながら、この争い総てが
非常にエモーショナル^^;で且つ民主主義に満ちている。もう
こんなバカ騒ぎなど信じられないほど、収蔵品そっちのけで
自転車道と歩行通路のことでモメる館側と市民。この美術館、
すごく面白い作りをしていて、美術館の建物内を自転車道が
通り抜けできるよう配置されているのだ。当初コンペで建築
デザインを勝ち取ったスペイン建築家の構想はサラリと却下、
デザインが重視か?自転車道が重視か?みたいな水掛け論が
治まらず、内部のデザインと合わせて工事は何度も頓挫する。
どんどん延びるオープン予定に頭を抱える館長は途中で交代、
新館長の座を狙っていた学芸員や、目玉の新作を落札できない
失敗談などドラマ性にも事欠かない配合力。と思うと内部の
スタッフ達は名画の修復や海外からの美術品収集に余念がなく、
特に日本から「金剛力士像」を取り寄せたオタク(爆)部長!には
満面の笑みと誇らしさが漲って彼の場面だけが常にバラ色だ。
何なんだこの、破格の面白さは!声をあげて笑うことが数回、
こういったすったもんだの戦いは、傍で見ているから面白い。
美術館と銘打っているのに、名画は置き去りかよー?いえいえ、
しっかりと名画たちも魅せてくれます。モメにモメた壁色でね。
こりゃもう行くしかない!みんなのアムステルダム国立美術館へ。
(真剣に笑う97分。しかし恐るべきはサイクリスト協会!強ぇ~)