劇場公開日 2014年11月22日

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「不可解な登場人物達が猜疑心を煽り続ける作品。」オオカミは嘘をつく Opportunity Costさんの映画レビュー(感想・評価)

3.0不可解な登場人物達が猜疑心を煽り続ける作品。

2014年11月26日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

笑える

楽しい

怖い

良かった。
随所に差し込まれる『ハズシ演出』に好き嫌いが分かれる所ですが。
個人的には好きな作品でした。

主要登場人物は3名。
容疑者と目され周囲から差別/迫害を受ける、善良で気弱そうな元教師 ドロール。
ドロールを犯人と断定し執拗に付け狙い、違法な捜査も辞さない刑事 ミッキ。
娘を殺され復讐に燃え、法の代わりに犯人を制裁しようとする富豪 ギディ。

少女誘拐/殺害事件の首謀者を特定するため。
或るモノの在り処を聞き出すため。
ミッキとギディがドロールを尋問/拷問する。

容疑者役と探偵役が明確に分かれているようで。
主要登場人物全員が不可解な部分を持っているため常に複数の可能性が。
情報の隠し方、そして情報の意図的なミスリードが巧くグッときました。

特に元教師 ドロールが疑われている理由が不明確な点。
この点が主要登場人物達を不確かなモノにしていました。

「刑事の勘」とばかりに容疑者を断定して違法な捜査に手を染める悪徳刑事。
復讐のため過度な舞台を用意し、異常な行動を続け、やけにモノが揃っている富豪。
探偵役にも関わらず不可解な部分が多過ぎます。
一方、容疑者である元教師も善良過ぎて逆に怪しい。
作中で要素を提示される度に怪しい人物がコロコロと変わり刺激的な展開を楽しめました。

また随所に差し込まれる『ハズシ演出』も良かった。
凄惨な拷問で話のトーンが暗くなりがちですが。
ハズシ演出の御蔭でブラックコメディになっていました。
特に富豪 ギディの用意した舞台に場所を移してからは暗い笑いが満載。
ギディに関連する人物が登場してからは更に笑いの要素が多く楽しめました。

不可解な登場人物達が猜疑心を煽り続ける本作。

明らかに無駄な場面、例えば序盤の刑事と元教師の長過ぎる鬼ごっこや富豪の舞台下見 等がある点も残念でしたが。
一番残念だったのが…終盤の展開。
これまで煽りに煽ってきた猜疑心の帰結が。。
ラスト映像の禍々しさは良かったですが期待した衝撃は得られませんでした。

中盤に繰り広げられる暗い笑い、そしてハズシ演出を楽しめる方。
オススメです。

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Opportunity Cost