「「誰よりも求め過ぎた男」を描いた作品。」誰よりも狙われた男 Opportunity Costさんの映画レビュー(感想・評価)
「誰よりも求め過ぎた男」を描いた作品。
良かった。
14年2月急逝したフィリップ・シーモア・ホフマン、最後の主演作。
ホフマンは本作でも渋い役を好演。
見た目は大柄、猫背、白髪の中年男性。
大きな塊のような彼がノソノソ動き呼吸を常に乱しつつ。
自身の頭と情報網を活用して謀略を巡らす。
その得体の知れなさ、底の見えなさが話に説得感を与えていました。
またホフマンの表情が魅力的。
通常は感情が抜けた無表情。
そのため時折見せる感情豊かな表情にハッとさせられます。
身内に見せる柔和な笑顔。
敵対者に見せる皮肉な笑顔。
神経質な思案顔。
そして独りの時の寂しげな顔。
彼の表情で状況の理解が深まり話に惹き込まれていきました。
話の設定/展開も良かった。
9・11テロ以降の世界でテロを未然に防ぐこと、テロの芽を摘むことに執念を燃やす各諜報機関。
同様の思想を持つものの、現場を指揮するバッハマンはより広く長期的な考え方で対応しようとします。
行動を通して徐々に明らかとなるバッハマンの考え方。
序盤と終盤でバッハマンに対する印象がガラッと変わりました。
そして迎える結末。
全てが変わった、一瞬の出来事。
その圧倒的な密度に息を呑み。
一瞬の間を置いて理解が追いつき大きく息を吐く。
非常に濃密な時間でした。
ホフマンの魅力と確かな演出で緊迫感を保ち続けた本作。
個人的には「誰よりも“求め過ぎた”男」の方が適切だったように思います。
ホフマンの好演を堪能できると同時に、終わりなきテロ対策の解決策とは…と考えさせられる作品でもありました。
オススメです。
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