「グローバリズムへの懐疑と郷愁」ニューヨークの巴里夫(パリジャン) よしたださんの映画レビュー(感想・評価)
グローバリズムへの懐疑と郷愁
この一連の三部作では、主人公グザビエはグローバリズムが進行する中で様々な人生の節目を経験する。
今回は舞台がニューヨーク、グローバリズムの世界の中心とも言うべき都市だ。そしてタイトルや主要な登場人物には、中国という無視することの不可能な存在が。
世界は航空機やインターネットの発達によって小さくなった。確かに彼らのコミュニケーションは、20年前には考えられなかったほど身軽に、大西洋を飛び越える。
しかし、アメリカにいるもの達が皆絵にかいたようなアメリカらしさを手にしているわけではない。同じニューヨークでも、住む場所で生活が変わる。
このようにグザビエに立ちはだかるアメリカの壁を描く一方、学生時代の元彼女との復縁など、彼のフランス人としてのアイデンティティーややすらぎへの回帰も示される。
今世紀に入ってからの人々の内面的な混乱と、より確かなものだったはずの国民国家の時代への郷愁を感じた。
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