「ママの手は魔法の手。」マダム・マロリーと魔法のスパイス ハチコさんの映画レビュー(感想・評価)
ママの手は魔法の手。
フランス料理とインド料理が対決!して融合!して絶妙!な
お味を醸し出している、そんな作品。
L・ハルストレム監督らしい温もりが随所に溢れている。
私のような捻くれ者からすると、もっとここで毒を盛ったら?
なんてヒドイ脚本を^^;つい思い立っちゃうところだけど、
苦難はあれど、しっかり収まるという予定調和な安心感は
南フランスの美しい景色と相まってゆったりと観ていられる。
しかしどこの国でも同じだろうけど、あんな真正面に同系の
店がオープンしたら、誰だって心穏やかじゃないわなー。
扱う料理が違うとはいっても、ライバル店になるのは必至。
ミシュラン一つ星の老舗店には、このインド人一家が開いた
店が邪魔でしょうがない。捻くれ店主のマダム・マロリーは、
ことごとく意地悪を仕掛けるが、インド人店主も負けていない。
このジジババ合戦、もういい加減にしなさいよ~と思うが、
インド店次男とフレンチ店見習いがいい雰囲気に打ち解ける。
恋?が芽生えても、そこはライバル(こっちはいい意味での)、
二人の恋模様と、のちのジジババ融合?が最大の見せ場。
確かにいがみ合ってて美味しい料理なんて生まれるの!?と
素人目にも思えるところなので、ここは仲良くした方が得策!
予想はしていたけど、けっこう長~いお話(内容が)である。
ここで終わり!?と思ったらまだ続く。天才料理人の次男が
どう成長していくかが、今作のフルコースメニューなのだ。
料理がどんどん科学化し、いわゆる分子レベルにまで達して
ものすごい料理がバンバン登場するが、
そんな料理人が今でも忘れない原点としているのが母の味。
そうそう、ディズニーアニメ「レミーの~」でも描かれていた
このテーマ、あの時は原題通り「ラタトゥイユ」だったよねぇ。
(考えたらこれも南フランスのお料理なのね)
いい意味で、どの家庭にも忘れられない母の味があって、
それを食べて育った子供がやがて天才シェフになったりする
んだから、その天才の味覚を生んだのはお母さん!なのだ。
自身の味覚を自覚する瞬間が何よりも感動的。
でも本心では、もっと!もっと!料理を堪能したかったクチ。
(オムレツもさ、もっと見たかったのよ、ハーブあれこれとか)