劇場公開日 2016年3月12日

  • 予告編を見る

「小説原作ならではの世界観。壮絶すぎる男達の覚悟と戦い。」エヴェレスト 神々の山嶺(いただき) 映画コーディネーター・門倉カドさんの映画レビュー(感想・評価)

2.0小説原作ならではの世界観。壮絶すぎる男達の覚悟と戦い。

2016年4月15日
PCから投稿

悲しい

怖い

興奮

【賛否両論チェック】
賛:エヴェレストに執念を燃やす登山家と、彼を追う写真家。2人の運命が激しく共鳴し合っていく様子が、エヴェレストの過酷な自然の中で描かれるのが印象的。
否:展開はかなりご都合主義で、実際には無理がありそう。現実路線の人には不向き。

 なりふり構わず、カメラマンとして功をなそうと必死に食らいついていく深町。そして己の全てを賭け、まるで何かにとり憑かれたように、エヴェレスト登頂へ執念を燃やす羽生。似たような境遇の2人の運命が交錯し、次第に共鳴していく様子が、エヴェレストの壮絶な環境下で、激しく叙情詩的に描かれていきます。
 写真を撮りたいという深町に対し、
「俺を撮れ。俺が逃げ出さないようにな。」
と告げる羽生のひたむきさには、畏怖すら感じてしまうほどです。一方の深町も、当初は登山隊の滑落事故にも構わずシャッターを切っていたのが、羽生の身に危険が迫った時、カメラを倒してでも夢中でそれを知らせようとするシーンなんかが印象的です。
 ただ、昨年公開された「エベレスト3D」なんかと比べてしまうと、展開としてはかなり強引で、出来すぎている感は否めません。その辺りも、小説が原作ならでは作品といえそうです。
 男達の壮絶な生き様が観られる、重厚な作品です。

映画コーディネーター・門倉カド