「エヴェレストの迫力…。」エヴェレスト 神々の山嶺(いただき) ありりんさんの映画レビュー(感想・評価)
エヴェレストの迫力…。
命をかけて山に登るようなクライマーって、もはや「哲学者」だと思う。
過酷な環境で長時間、孤独に自分と対話しながら進むしかない…。
阿部寛と岡田准一、極寒の雪山の中で鬼気迫る好演。
でも残念なのは、随所に不自然な設定が感じられてちょっと興ざめ。
エベレストって、そう簡単に登れる山じゃないよね⁉︎ と、ツッコミたくなる。
引き合いに出すのはナンだけど、「イッテQ」のイモトだって、事前の身体作りや日本での雪山登山や、相当の長期間、準備してたじゃん!
全く素人の元恋人が「私も行きます!」とベースキャンプに…。ほぼ素人の野心家山岳カメラマンが、天才クライマーと同じ山頂に挑む…。
う〜ん、やっぱり映画の2時間に収めるには、説明不足は仕方ないのかなあ。
夢枕漠の原作を読むしかないかあ。
山岳小説の映像化、たしかにエヴェレストは美しかったけど、哲学を表現するのは難しいんですね〜。
原作は私も映画を見てから読みました。あまりに納得できないクライマックスのあのシーンだったのでw
ベースキャンプは誰でも行けますよ。普通に数日歩く体力は必要ですが。なんならヘリで行っても良いですが、ヘリで行くと高山病でぶっ倒れて寝て過ごすことになると思います(笑)
ベースキャンプまでなら、普通のトレッキングのコースにもなっているくらいです。
映画は5200m地点で撮ってるらしいのですが、ベースキャンプより標高が低いんだけど・・・それを「実際にエベレストで撮った」なんて言って良いのか?という方が私には気になります(笑)
深町も、最初にヒマラヤ遠征隊にカメラマンとして随行していた場面があることから判るとおり、「素人」ではありません。映画中でも元々はクライマーだったと言っているシーンがありました。
それと、最後に深町が登ったのは羽生と同じ南西壁ではなく、サウスコル経由のノーマルルートです。これもあと少しでサウスコルに到達する、みたいなセリフがありました。
それより私は、サウスコルからノーマルルートで登っていた深町と、南西壁を登っていた羽生と、チベット側からノースコル経由で登っていたマロリーが一堂に会する、というシーンのあり得なさにひっくり返ってしまいましたが、これも原作では強引ではあひますが、一応の説明はありました。
(そもそも原作では深町はチベット側から登っている)
ちなみに羽生のモデルは森田勝という、70年代に活躍した実在の人物です。
この人の伝記は、「狼は帰らず」という本がありますので、もしよろしければそちらも併せてお読みいただければw