「なかなかの良作。しかし、賛否両論別れる作品。」最後の命 作品に向き合うゆき平さんの映画レビュー(感想・評価)
なかなかの良作。しかし、賛否両論別れる作品。
まず今作、驚くのが幼少期、高校生、大学生とほとんどが回想。
現代部分は二割と言ってもいいくらいに少ない。
しかも、その回想部分は行ったり来たりするため、ちょっと複雑。
特に、前半は丁寧に演出しているからわかりやすいが、後半の大学生部分は現代部分とちょっと混乱した。虚構的なメールの部分もちょっとややこしい入り方。
だけど、描かれていることは結構、深い。
正直な所、冴木には感情移入はできない。
だけれど、ずっと重いものを背負って生きてきたことは感じられる。
授業などで性というのを知った時、彼はどれだけ恐ろしくなったのだろうと考えさせられる。
主人公は他人に触れられないトラウマを抱えているが、冴木はその奥の性欲というトラウマを抱えている。
どちらも重いが、辛いのは冴木。
なぜなら、まだ主人公には希望がある。
冴木は希望もあったかもしれないが、ほとんどが絶望だ。
だけれど、最後にとった行動は観客が何を感じたかはどうであれ、初めて過去との対峙をしたと思う。
そして、主人公にもこれからという希望の一歩を感じるラストシーンは良い余韻が残り、そして綺麗でした。
これは幼少期の過去に苦しめられる人間の弱さと脆さを現している作品と見終わった後に感じました。
人によっては「バカじゃないの」だったり、テンポの悪さに退屈になったりするかもしれません。
だけど、何かは感じられる作品だとは思う。
原作ファンは迷わずオススメできるが、それ以外で気になる方は人を選ぶけども、ぜひ見てみてください。
良い映画でした。
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