劇場公開日 2018年10月6日

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「単なる不倫映画ではなくたっぷり楽しめる作品」チューリップ・フィーバー 肖像画に秘めた愛 しろくまさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0単なる不倫映画ではなくたっぷり楽しめる作品

2018年10月30日
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この映画、単純な不倫恋愛映画ではない。
脚本は巧緻。
複数の登場人物の人生が、17世紀オランダのチューリップ・バブルを背景に描かれ、恋愛模様とチューリップの相場の2つのサスペンスが交差するストーリーが見事。
静謐な不倫劇をイメージしていたのだが、演出は意外とスピーディーで飽きさせない。
ネーデルラントのバロック全盛期の富裕層の生活や街並みの描写は、まさにフェルメールやレンブラント、ブリューゲル(父)たちの絵画のそのものだ。あの絵の世界が動いているのを見るようで、とても楽しい。
たっぷり楽しめる充実の作品。

孤児院で育ったアリシアは、年の離れた裕福な貿易商コルネリスに嫁ぐ。コルネリスの家には住み込みの女中マリアがいた。
ある日、コルネリスは夫婦の肖像画を書かせるため、画家のヤンを雇う。アリシアはヤンと恋に落ちてしまう、というストーリー。

この映画はマリアの語りで進む。
物語の主役である男と女ではなく、その目撃者が語るという、語りの円環構造。
ドアを開ける、閉める(締める)ことにより物語は進んでいく。こうしたモチーフの使い方も上手い。

ジュディ・デンチが修道院長を演じていて、今回もまた、いい脇役だ。

しろくま