劇場公開日 2018年10月6日

  • 予告編を見る

「三角関係をこじらせるチューリップ」チューリップ・フィーバー 肖像画に秘めた愛 とえさんの映画レビュー(感想・評価)

3.5三角関係をこじらせるチューリップ

2018年10月22日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

時代劇なんだけど、スピード感のあるスリリングなラブサスペンスになっていて、最後まで退屈することなく楽しめた

名優たちを贅沢に使うキャスティングも良かった

17世紀のオランダではチューリップが大流行し、希少種の球根は一株で家が買える程に値が急騰する「チューリップバブル」が起きていた

その時代、修道院で育ったソフィア(アリシア・ヴィキャンデル)は、世継ぎを産むために裕福な家庭の主人コルネリス(クリストフ・ヴァルツ)に買われ、結婚する

しかし、コルネリスが肖像画を依頼した画家ヤン(デイン・デハーン)とソフィアは恋に落ちてしまい…

貿易で成功した主人と、彼の家にもらわれてきた若い妻、そして、そんな人妻に恋した若い画家の三角関係を描いた作品だけれど、当時のチューリップバブルの熱が彼らの関係をより複雑にする

なぜならば、チューリップの希少種を一株売るだけで莫大な富をもたらし、貧乏な人でも、チューリップの株で一山当てれば、社会的地位を得ることができたからだ

そこで、ヤンはチューリップを売って富を得て、ソフィアを連れて遠くへ逃げようと考えた

彼らは、チューリップフィーバーという熱と、恋の熱、両方の熱に浮かれていたのだ

しかし、当時のチューリップフィーバーは、世界最古の経済バブルと言われただけあって、いつ弾けてもおかしくないというリスクがあった

今で言えば、いつ暴落するかわからない株に全財産を投入するようなものだった

そのバブルが、物語をスリリングにしていく

果たして、チューリップの株を売ることができるのか
そして、若い二人の恋は成就するのか

ハラハラドキドキしながら、その展開を見守っていた

この映画のポスターのように、まるでフェルメールの肖像画から抜け出てきたようなアリシア・ヴィキャンデルもとても良いんだけど
美しい青い瞳をしたデイン・デハーンがとても良かった

デイン・デハーンは32歳になるようなんだけど、まるで青年のようなピュアさがあって、すごく爽やかな雰囲気がとても良かった

あぁ、これはソフィアも恋に落ちちゃうよねーっていう説得力があった

まぁ、結局のところ、バブルに乗っかるよりも、地道に稼いでた方が良かったよね
と思うんだけど、恋の熱に浮かれていたからこそ、リスキーなバブルに手を出してしまったわけで、
恋は人の判断力を鈍らせてしまう魔力を持っているという話だった

このままいくと、これは悲しい終わり方になるのでは…
と思いながら観ていたんだけど、最後は予想外に明るく、希望を感じる終わり方で良かった

とえ