「良い意味で裏切ってくれた」ベイマックス harukitaさんの映画レビュー(感想・評価)
良い意味で裏切ってくれた
もし本作の舞台設定がトーキョーだったら、きっと興醒めしていただろう。
今までどれだけアメリカが描く日本に落胆、苦笑してきたことか…。
その点を考慮したかどうかは分からないが、本作ではサンフランシスコと東京をミックスしたサンフランソーキョーと言う舞台設定はなかなか見事だと思った。
これなら変な日本でも、全く違和感無く観ることが出来る。
本作の予告編で受けたイメージは、傷ついた少年ヒロとベイマックスの友情と兄を失った悲しみから再生する物語のようなものを想像していた。
ある意味『アナ雪』『マレフィセント』の流れを受けた《真実の愛》をテーマにした作品なのかと…。
ところが本作は『アナ雪』の路線とは別で、どちらかと言うと『シュガー・ラッシュ』に近い作品であった。
予告編に騙されたような気もするが、
良い意味で裏切ってくれたと思うようにする。
そう思えるのは本作がちゃんと面白かったからだ。
後半は完全にヒーローもので、ヴィランの設定も、普通の人が絶望の果てに悪に転ずると言うものである。
悪役に関しては最近のディズニー映画は、かなり苦慮しているように思う。
生まれながらの悪ではなく、どんな人でも悪に転じてしまうことがあると言うことを描いている。
それは最近のディズニー映画に共通するテーマなのかもしれない。
さて、主人公のヒロ。
頭脳明晰で人を見下していたような、生意気な少年だったが、実は彼のまわりにあったものは兄が遺していってくれたものばかりだった。
きっと自分の世界だけで生きてきたのだろう。もしかしたから、この先も独りで生きていけると思っていたのかも知れない。
そんな彼が兄の仲間と共に闘い。
その仲間の声で悪に転じる手前で踏み止まる。
そして少年は少し成長する。
天才少年が仲間と共に本当に生きていくのはこれからだ。