「いい意味で泣けない!!!」ベイマックス sugixonさんの映画レビュー(感想・評価)
いい意味で泣けない!!!
ここ最近の涙活ブームのせいなのか、アナ雪のせいなのか泣ける映画として国内では宣伝されていたベイマックスでしたが、正直泣ける要素はそこまでないかと思われます。わくわくする展開は随所にありますが、兄弟愛がすばらしく描かれているわけではないし、ベイマックス(無機質なロボットだし)との友情?みたいなものもそこまでこの映画を占めていないと思います。
少し話題になってましたけど泣けるという意味でAIのStory起用や鉄拳のパラパラ漫画宣伝に騙されてしまう人はかなりいたんじゃないでしょうか。ベイマックスというタイトルにしてベイマックスをポップアイコンにしようと企んでいたと思うんですけどベイマックスに愛着もさほど湧きませんでした。(アームドベイマックスはかっこいい)
成長劇としては王道な気もしますが、ヒロとベイマックスの友情にもオタク大学のみんなとの関わりに焦点が置かれているわけでもなく...気付いたら終わっててざっくりと派手なシーン多めのアクション映画という印象でした。しかし町並みや戦闘シーンの力の入り用は必見ではあり、スーツ開発、全員集合の画面や飛行シーンはワクワクする王道を攻めていると思います。
ただ、どこか既視感がある上に、ここしばらくの実写ヒーローモノと比べるとどこか物足りないところもありディズニーでもマーベルでもないような心地になりました。この映画の飛び道具であるベイマックス自身に強烈な魅力が感じられないのが大きいと思います、ケアロボットとして生み出されたはずが戦闘を強いられているのは少しかわいそうな...というのが正直な印象です。
アイアンマンやスパイダーマンのようなヒーローたちはヒーローとして生きる苦悩があります。苦悩故の守りたいものを見つめたり、戦う理由を見つけたりヒーローとしての彼らは輝きを増していきます。途中からヒロの道楽のようにも見えてしまったり、と思いきや復讐劇に見えてしまったりベイマックスや大学のみんなが巻き込まれているような...この映画にはそういったヒーローとしての苦悩が描かれていないため、(ヒーローとして確立するのは終盤)ヒーローファンやSFファンにはどこかモノ足りない印象があるかもしれません。
ヒーローものとしても泣けるものとしてもこれだ!というメッセージが見受けることが個人的にはにはできませんでした。ディズニーが原作を映画化のためにかなりデフォルメしてしまったのが大きな要因かもしれません。ただこの映画の独特の世界には少年少女のロマンが詰まっていることはたしかなので、一見の価値有りです。今後のディズニー×マーベル作品に期待です。