「ふんわりしている」海街diary MASERATIさんの映画レビュー(感想・評価)
ふんわりしている
鑑賞後に気持ちが落ち着くような、この不思議な気持ちは何だろう。
特別内容が良いだとか、印象に強く残るような作品には感じなかったのだが、上映が終わり劇場を後にしてもまだ心だけが残されたように感じた作品は久しぶりだ。監督の前作、「そして、父になる」でも似たようなものを確かに感じ取ったのだが、恐らくこれが是枝監督の独特な空気感なのだろう。前作ではストーリーが面白く目が離せなかった部分もあるため、その雰囲気を確実に感じることが私には困難だったようだが、本作で描かれていることのほとんどが姉妹の日常の出来事のため、序盤などはストーリーに目まぐるしい展開などがなく、その空気感により浸れることが出来たのだろう。
そう、本作は日常の生活に焦点を当てているところがポイントだ。
ふんわりしたまま中盤へと差し掛かるがそれで終わらないのが本作の良いところ。終盤では姉妹それぞれの問題を丁寧にカタをつけていくのだ。急にふわっとしていたものが引き締まったかの如く進んでいく。この構成にもやられた。いい映画を観たなと心から思えるそんな作品だった。是枝監督にはこれからもこの路線で頑張ってもらいたい。
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