「イスラム色を排して勝ち得た普遍性。」雪の轍 bashibaさんの映画レビュー(感想・評価)
イスラム色を排して勝ち得た普遍性。
冒頭部分のエピソードと結末部分がうまくつながっていたので、一見、映画としてはまとまっているように見えますが、上映開始後、2時間近く、これでもかと言わんばかりに延々と続く、兄と妹、あるいは夫と妻、(ここでは、兄と夫は同一人物で、家主でもあり、文筆業にも手を染めています。本編の主人公です)のどうでもいい不毛な議論には些か白けました。この冗漫な部分、どうにかならなかったのでしょうか。科白だけで説明しては映画の価値が下がるというものです。
私にとっては久しぶりのトルコ映画(多分、「路」、「群れ」以来)であったので、他の国にはないトルコ的なものを期待していたのですが、実際には、イスラム色を排した、日本や欧州、北米などと共通した話題を取り扱った映画になっていました。逆に言えばそれだけ、普遍性がある、と言えるのかもしれませんが・・・。その点がなんとも、もの足りなかったです。
強いて言えば、ガウディの建築物にも似たカッパドキアの風景がトルコ的な「何か」を訴えていたのかもしれませんが、私にとっては、結局のところ、取ってつけたようなものでした。
期待も大きかっただけに、この薄味の内容には失望しました。また、無駄に長いな、とも感じました。
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