「美しさから引き立てられる汚れたもの、あるいは汚れたものから引き立てられる美しさ」雪の轍 SHさんの映画レビュー(感想・評価)
美しさから引き立てられる汚れたもの、あるいは汚れたものから引き立てられる美しさ
かなりの長尺で、しかも終始澱んだ内容で、どっと疲れました。
美しいカッパドキアの風景と、それと相反するかのような人間のエゴとが交錯することで、いつの間にか引き込まれていく─反駁するものに決して安易な和解的解決策・演出を織り込まず、心と心が断裂されっぱなしで淡々と展開されるそのストーリーには感嘆させられるが、見ているこちらも救済されるところが少ないので、非常に疲れます。
まるでテオ・ゲンゲロプロスのような映画だと思います。カット数が多いところが大きな違いで、美しい背景と人間の醜態の対比といったものは、まさにアンゲロプロス。ヨーロッパではこういう映画が評価されるのかもしれない。
心して観るべし!
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