「童貞くんを描きつつ戦争も描いたチェコ映画」厳重に監視された列車 たいちぃさんの映画レビュー(感想・評価)
童貞くんを描きつつ戦争も描いたチェコ映画
映画タイトルは堅苦しく、内容も第二次世界大戦の終末ごろの物語とのことで、重そうな戦争映画かと思いきや、「戦争という大きな出来事」と対比させるかのように「女性経験の無い若者の小さく見える性の悩み」を描いたチェコスロバキアの映画。
この映画、童貞君の悩みを中心に描いており、彼にアドバイスするかのような女好きの男や、積極的な女性などを描いていて、コミカル・タッチが前面に出ている。
しかし、その背後に“戦争”も描いているあたりは見事。
第二次世界大戦のヨーロッパでは、各国で激戦が繰り広げられていたが、1939年にナチス・ドイツの保護領となったチェコスロバキアは例外で、激戦などは無い平和な生活だった。
しかし、1945年になるとドイツ敗戦の報が伝えられ、ドイツ占領国であったチェコスロバキアでも抵抗運動が活発化したのだった。
本作は、そのころの時代背景をベースに描かれており、駅員見習いの童貞くん=ミロシュに性の手ほどきをするドイツ名の女性は抵抗運動員(レジスタンス)であるが、彼の筆おろしの指南役も……という不思議なタッチで描かれている。
こうした映画を生み出したチェコのイジー・メンツェル監督の手腕は素晴らしい!
なかなか本作のような映画は他に類を見ない映画ではないだろうか。
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