「言いたいことはあるけど終わりよければ全て良し」バクマン。 mintoさんの映画レビュー(感想・評価)
言いたいことはあるけど終わりよければ全て良し
よかった。監督の技量を感じる映画だった。原作があり縛りが多い中最大限に奮闘しているように感じた。
キャラや設定の取捨選択と、恋愛要素は限りなく削ってテーマを「友情、努力、勝利」に絞ったところが英断だと思った。
漫画原作の映画にありがちなとっ散らかった印象はなくよくまとまっているように思えた。ゴミ映画はくどい音楽を多用して無理やり感情を動かそうとしてくるがそうではなく、映像による工夫と、端正な音楽で表現しているところがよかった。
あと喜びのシーンや悲しみのシーンが、窓の外から映していたり、あえて少し時間を飛ばしたところから始まったりと極力くどくならないようにして、見せ場をしっかり作っていたところもメリハリがあってよかった。
しかしながら、漫画バトルはやや本質とずれているので蛇足に感じた。ペンの音などで迫力を出すのは、素晴らしい演出だったが多用しすぎてくどかった。ここぞの言う時の演出にとっておいた方がいいようにも感じた。
俳優陣は検討していたと思う。特に新妻エイジ、シュージン、服部さんがよかった。小松菜奈は雰囲気でカバーできているが、我が強く出すぎていて、キャラを演じる気があるのか?と思った。
あと、2人が漫画を描く必然性と新妻エイジに勝つ必然性が薄く、感情移入しにくかった&そんな上手くいくわけねぇだろとシニカルな気持ちになってしまった。
2人を応援するだけのバックストーリーが欲しかったように思う。(それは原作も同じだが)
1番イライラしたのは何故アシスタントを使わないのか?ということ。
連載始まる前は普通アシスタントを雇い体制を整えてから始まる。
2時間という尺に収めるので登場人物を多くしたくなかった&最後の友情脚本にもっていきたかったのは分かるが、リアリティがなさ過ぎて興ざめした。
途中まで3.5だったが、エンドロールの2重構造と、オチ「ずっと待っているから」に持っていかれて細かいことはどーでもいいか!となった。
大根監督の作家性が色濃く出たオチだったように思う。