「きわめて日本的な漫画創造の現場」バクマン。 akkie246さんの映画レビュー(感想・評価)
きわめて日本的な漫画創造の現場
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興味深く鑑賞した。るろ剣の佐藤健、神木隆之介コンビによる少年漫画家誕生秘話。ただし、設定がなんの変哲もないノーマルな現役高校生であり、同人誌系の作家的な漫画志向の人物や志向性はほぼゼロで、映画としてはよくできていると唸ったものの、脚本や企画は、なにを目指しているのかわからなかった。いわば、講談社少年ジャンプ編集部プロデュースによる、週刊少年ジャンプ新人賞の裏側といった趣きか。日々大量生産される出版物がどのようにして生み出されているのかいまいち不明なままだった。
原作があるのか知らないが、藤子不二雄もどきをやろうとして初期段階でつまづいている。人気投票で一位をとって終わりとは。プロだった叔父さんにできなかった夢を甥である自分たちが叶える。漫画は孤独な作業だから友情がなにより大切。編集部自体も競争社会。博打打ちばかりだということ。
二時間の上映時間内で何度も漫画の企画、ストーリー構成、作画、編集会議、読者投票による悲喜こもごもを見せるので、全体としてはラフな流れになっている気がする。ただ、映像はとてもよくできていると思った。美術も最高、売れている役者ばかり使い撮影もいい。しかし、オチもなくカタルシスもなく、虚しさのみ残る。三日間寝てなくて病気で倒れて皆で頑張る。おそらくは、原作に問題があるのだろうとは思うが、話が何処へ行くのか期待して最後まで見ただけにすこし失望した。山田孝之さん目線で、ちゃんと描いて欲しかった。
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